第13話騎竜
老人「やりおったわい…」
トラウ「思い知ったか!」
トラウがクサバミを担いで茂みからバザバサ音を立てながら出てくる
コウキ「相変わらず、そういう感覚はすげぇよな…」コウキが感心する
トラウ「あたりめーじゃねえか!」
老人「こりゃたまげた…!クサバミは獲物が仕留められる距離に来るまで動かん上に、擬態なんぞ普通、目視で見抜けるもんではないが…おぬしすごいの…」
トラウ「まあな!」
コウキ「じゃあ昼飯にすっか!」
トラウ「よっしゃー!」トラウが木を集め火を起こし、コウキがクサバミを解体していく
老人は騎竜の綱や金具を外し騎竜を休ませる
コウキ「よーし、こんなもんかな…」
トラウ「おーい火できたぞーじいさんも食おうぜ!」トラウが騎竜と座っている老人を呼ぶ
老人「よいのか?」
コウキ「みんなで食った方が美味いしな!」
老人「では、御相伴に預かろうかの」
コウキ「はい、お前らの分」二匹の騎竜にも肉塊を一つずつ分ける
老人「よ、よいのか?!」
コウキ「まあ、ここまで一番働いてるのはこいつらだしな」
老人「うーむ、すまんのー…」
トラウ「いんだよいんだよ!コウキ焼こうぜ!」
コウキ「はいはい」どんどん肉を焼き三人と二匹でガツガツ食べる
コウキ「そういや、じいさん家の看板にタツセー屋って書いてあったけど何の意味なんだ?」
老人「あーあれはのタツはまあわかると思うが竜のタツじゃ」
コウキ「まあ、だろうな」
老人「セーはの…なんでも地球側の地域には竜よりも早く、さらに長く走れ人を運ぶタクセーという鉄の塊があるそうじゃ、それにあやかってつけた名前じゃよ…!」自信満々に胸を張って話す老人
トラウ「すげー!そんなモンがあんのかー!すげーな!なあコウキ!」興奮するトラウ
コウキ「そうだな」
コウキ(多分…タクシーの事じゃねえかな…)胸に閉まっておくコウキ
会話をしながら食事が終わり片付けを始める
コウキ「よし!片付け終わったし行くか!」二人に告げるコウキ
トラウ「おう」老人「そうじゃの」そう言いながら荷台の後ろに乗り込もうとする二人
コウキ「おい!じいさん、そっちじゃねーだろ!」後ろに乗ろうとする老人に指摘するコウキ
老人「おぬしは、こんなか弱い老体に鞭打つというのか…ゴホ、ゴホ…」
トラウ「おいコウキ、お年寄りには優しくするもんだぞ」
コウキ「人を脅かして喜んでるジジイが、か弱い訳ねえだろ」
トラウ「…」老人「…」コウキを無言で見つめる二人
コウキ「わかったよ!俺が運転しますよ!」
老人「そうかそうか優しい若者じゃ感心、感心」
トラウ「流石は俺の相棒だよ」
コウキ「うるせえ!さっさと乗れよ!」運転席に座るコウキ
コウキ「この…自由人どもめ…」ブツブツなんだかんだ言いながら竜車をゆっくり加速させる
竜車で山をいくつも通り過ぎ、日が暮れてくる
コウキ「おーい!じいさーん、そろそろ夜営の準備しよーと思うんだけど、どっかいいとこあるかー?」大きめの声で後ろの荷台に聞こえるように声をかけるが返事がない
コウキ(どうしたんだ…?)竜車を止め運転席から後ろを覗いて見る
コウキ「おーい…」
コウキ「おい!二人して何寝てんだ!」
老人「むにゃ…なんじゃ、もう着いたのか?」
コウキ「着くか!まったく…この辺りで夜営に適した場所とかねえのか?」
老人「うーむ…もう少し手前にならあったんじゃがの…」外の風景を見ながら言う老人
コウキ「…」
コウキ(ホントこのジジイ…)
老人「まあ…しょうがないその辺で夜営するとするかの」道の脇で夜営を始める三人
コウキ「じいさんこの道、帰りは一人だろ?危なくねえのか?」何気なく聞くコウキ
老人「心配するでない、こう見えて儂な武道の達人じゃ」凄んで見せる老人
トラウ「まじかよ!」
コウキ「意外だな…」
老人「嘘じゃ」
トラウ「ガーン!」
コウキ「ホントこのくそジジイ…」
老人「まあ、それは冗談じゃが、危なくはない、あの二匹の騎竜はこの辺りの生き物に負けるほど柔ではない」寝ている騎竜を見て老人が説明する
トラウ「おお、つえーのか」
コウキ「へーなんて言う種類の騎竜なんだ?」
老人「アーティアラウという種類じゃよ」
アーティアラウ…強位35 全長六m体高二m 大昔、栄えたアーティアカという大国で人の生活を助ける騎竜としてアーティアラウという名前を付け国で大切にされていた竜。素早く持久力が高い、群れで生活し知能が高く連携して狩りをする。肉は筋っぽく硬い為、食用として扱う事はほとんどない。素材は鱗や甲殻が耐久性が高くしなやか
老人「色々な種類がおる、時間があれば騎竜の街へ行ってみるとええ」
コウキ「そうなんだよな〜、そのうち行ってみたいんだよ」
トラウ「俺はタクセーで運ばれてみてえ!」
コウキ「俺も一度見てみたいな」
トラウ「だろ?!」
夜も更け老人が荷台で、二人が竜車の横に天幕を張って就寝する…。
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