第3話出発

水竜を討伐した日から数年、町中心の広場にて…

ロダン「全然、来んではないか!」

コウキ「今日っつったんだけどなー…」

ロダン「まったくどうしようもない奴じゃ…!」

ロダン「はぁ…しょうがない迎えに行くとしようかの」

コウキ「やっぱ、こうなるのか…」

バンドリー家へ向かう二人

二人が家の前に着きロダンが扉をトントン…と叩く、間を置いた後にはーいと声がして扉が開く

サクラ「あー!おじいちゃーん!コウちゃんもおはよー!」

ロダン「うむ、おはよう」

コウキ「おはよう、おばちゃん」

ロダン「まだ寝ておるのか?」サクラに問う

サクラ「さっき起こしたんだけどそこから下りて来なくて…」

コウキ・サクラ・ロダン「ハァ…」三人揃って成長しない人間に、ため息をつく

サクラ「よかったら、おじいちゃんもコウちゃんも上がってお茶でも飲んで待ってて」

ロダン「そうするとしようかの…」

コウキ「おじゃましまーす」

ミレア「おはよう!おじいちゃん!」

ロダン「お〜儂の天使よ〜!お母さんにも似てきて大きくなったの〜!」ミレアの頭を撫で溺愛するロダン

サクラ「この前、会ったばかりでそんなすぐ大きくなるわけないでしょ、何言ってんの」ロダンの溺愛ぶりに軽く呆れるサクラ

コウキ「おっすミレア」

ミレア「おはよコウ兄、ダメ兄貴なら二階だよ」

コウキ(ダメ兄貴…)

ロダン「コウキ、起こしてくるんじゃ」

コウキ「えー!俺かよー」

ロダン「年長者の意見は尊重するもんじゃ、はよう行ってこい」

コウキ「はいはい…」渋々起こしに行くコウキ

コウキ(ミレアいるとコレだもんなー、はぁ、まったく…)渋々二階へ上がるコウキ

階段を上がって奥の部屋の扉を開けるとトラウが大口を開け腹を出して、くかーっと寝ている

コウキ「おまえホント…おい!トラウ!さっさと起きろ!」激しく揺さぶるが起きる様子がない

コウキ「全然、起きねえ…亜空間の部屋に入れて持ってくか…?」

ミレア「起きた?」ミレアが部屋に入って来る

コウキ「あれ、じいちゃんは?」

ミレア「下でお母さんと話してる」

コウキ「そっか、全然、起きねえよこいつ」

ミレア「大丈夫任せて」ミレアが手に氷を持っている

コウキ「そんなもん何すんだ?」

ミレア「まあ、見てて」といいトラウの服を捲ると氷を投げ入れる

トラウ「ッツメーーイ!!」面食らって飛び起きる

トラウ「なんだ、こりゃ!」急いで氷を取り出したトラウが二人を見る

トラウ「もっと、普通に起こしてくれよ…」ため息混じりに言うトラウ

ミレア「起きないやつが悪い」指摘するミレア

コウキ(孤児院のチビ共がこんな感じ、じゃなくてよかったよ…)安堵するコウキ

仕事を終えたミレアが下へ降りて行く

コウキ「予選の街、行くの今日だぞ」

トラウ「おお!そうだ!」

コウキ「じいちゃんと広場で待ち合わせなのにお前、全然来ねえから迎えに来たんだからな…」呆れるコウキ

トラウ「わはは、わりわりぃ」コウキの話を聞いてトラウが笑って謝る

コウキ「いいから、はやく用意しろよ」

トラウ「へいへい」

家の一階では…

ミレア「じゃあ、行ってくるねー」

サクラ「気をつけてね」サクラがミレアを見送る

ロダン「またのミレア!」

ミレア「うん、じゃあね、おじいちゃん!」ミレアが出かける

ロダン「行ってしもうた…」落ち込むロダン

サクラ「またすぐ会えるでしょ」慰めるサクラ

ロダン「サクラは…混星前にいた…えー…」

サクラ「日本?」

ロダン「そうじゃ、そのニホンに帰りたいとは思わんのか?今なら世界も昔より安定しておるし…もし、会いたい者や思い残した事があるのであれば帰ることもできるんじゃぞ…」サクラの反応を見ながら言う

サクラ「うーん…別にいいわよ、向こうに家族もいないし…昔の友達がどうしてるかはちょっと気になるけど…おじいちゃんと暮らした小屋がある、この町を離れたいとは思わないわ」

ロダン「そうか…」暗い顔で返事をする

サクラ「そんなに気を遣ってくれなくても今のままで十分、恵まれてるわ」

ロダン「儂の娘なんじゃ、なんでも困った事があれば頼ってくれて構わんのじゃよ」

サクラ「わかってるって、だからトラウの面倒を頼んでるんでしょ」笑って応えるサクラ

ロダン「まあ…それもそうじゃな…!」前向きな応えに笑顔で応えるロダン

トラウとコウキの二人が二階から下りてくる

トラウ「おっす、じいちゃん!」

ロダン「…トラウはまったく成長せんのー…」精神的に疲れ、肩を落とすロダン

トラウ「そんな事ねぇよ、背も伸びたし、なあ?」コウキにトラウが同意を求める

コウキ「いや…おまえは成長してねえよ」

ロダン「まあ良い、とりあえず東門まで送るでの」

コウキ「じゃあ行くか」

トラウ「よし!行こうぜ!」

サクラ「私も一緒に出るわ」四人でバンドリー家を出て西門へ近づくと町の見知った顔が集まったいる

トラウ「どうしたんだ?みんな…」

コウキ「なんかあったのか?」

サクラ「いいえ、二人を見送る為に皆集まってくれたのよ」

ロダン「そうじゃぞ」

トラウ「え?見送りは、じいちゃんだけ、じゃねえのか!」

コウキ「予選、終わったらすぐ帰ってくんのに…」

ファウデン「おーい!二人とも!」

トラウ「あ、父ちゃん仕事は?」

ファウデン「いいんだよ!今は!」

アルマ「しっかりやってこいよ!」

ズド「うちの町代表だな!」

コウキ「アルねえにズドのおっちゃんまで…」

エイダス「いいですか、二人とも危なくなったら棄権するのですよ、無理を通して戦い続けると怪我の原因にもなり最悪の場合は…」

トラウ「わ、わかってるって先生!」

止まりそうに無いエイダスを制止するトラウ

ディール「おい!頑張れよ!」

ラミア「しっかりやってこいよ!」

イナン「が、がんばってね!」同じ学校に通っていた同級生の面々が応援する

トラウ「なんだ!お前らまで来たのかよ!」

コウキ「久しぶりだなー、イナンはオリー部隊に入ったんだって?」

イナン「うん!強くなりたくて!」

コウキ「そうか…!お互い頑張ろうな!」他にも来ていた同級生の面々や町の見知った者達から応援の言葉をもらう

ロダン「では二人とも…気をつけて行ってこい!試合開催前日には行ける者で応援に行くからの」

ミレア「寝坊しないでね」ミレアがトラウに忠告する

トラウ「わかってるって!」

コウキ「じゃあ行くか!」

トラウ「おう!」二人が西へ続く道を歩き、皆が見えなくなるまで手を振る

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