第333話 魔法剣・二刀流
「はぁあああっ!!」
「な、何だあれは!?」
「炎と……水の剣だと!?」
レノが右手の荒正に火炎を纏わせ、左手の蒼月に水の魔力を纏わせる光景を確認した兵士達は驚き、やがてウルの背中から飛び降りたレノは剣を振り抜く。
火炎と水の刃が同時に放たれ、城壁を乗り越えて地上に降りてきた魔物達を吹き飛ばす。複数の魔物が炎に包まれる一方、水の刃を受け付けた魔物達は肉体が真っ二つにされる。
「す、凄い……いつの間に別々の魔法剣を使える様になりましたの!?」
「この数日の間、頑張ったからね!!」
「ウォオオンッ!!」
「ぷるぷるっ!!」
両手で同時に別々の魔法剣を完璧に発動できるようになったレノにドリスは驚くが、その間にもウルとスラミンも戦闘に参加する。ウルは鋭い牙と爪を振るってゴブリンを蹴散らし、スラミンも身体を大きく弾ませて体当たりを行う。
「ガアアッ!!」
「ギャインッ!?」
「グギャッ!?」
「ぷるるんっ(スライムブレス!!)」
「グエエッ!?」
地上に降りたゴブリンとホブゴブリンの群れはレノ達の加勢によって次々と討ち取られていき、一方では半ば開きかけていた城門から他の魔物達に関してはドリスが対応する。
「爆砕!!」
『ガアアッ!?』
扉を押し開けて中に入り込もうとしてきた魔獣達に対し、烈火を振り抜いたドリスは爆炎を発生させ、魔物達を吹き飛ばす。レノ達と出会った頃と比べても彼女の魔法剣も強化されており、魔獣達を爆炎で吹き飛ばす。
城門の守護はドリスに任せてレノは地上に降りてきたゴブリンとホブゴブリンの対処を行い、やがて城壁の上へ視線を向けた。障壁の兵士達が苦戦を強いられていると判断したレノはスラミンに視線を向け、彼に声をかけた。
「スラミン!!ちょっと力を貸して!!」
「ぷるんっ!!(どんとこい!!)」
声を掛けられたスラミンはレノの意図を察すると、彼の傍に移動する。それを見たレノはスラミンの頭の上に飛び乗ると、スライムの弾力を生かしてレノは大きく飛び上がる。
「行けぇっ!!」
「ぷるるんっ!!」
スライムの弾力によってレノはある程度の高度まで飛び上がると、ここで両足に魔力を送り込み、速度を加速させる「瞬脚」を応用して空中で風圧を発生させて更に飛翔した。
無事に城壁の上まで飛ぶ事に成功したレノは城壁の上に降り立つと、周囲に存在するゴブリンを一掃するため、荒正を鞘に戻して蒼月を両手で握りしめる。
「はぁあああっ!!」
『ギギィッ!?』
『グギィッ!?』
縄梯子を固定して地上から次々と仲間を引き寄せるゴブリンとホブゴブリンの群れに目掛けてレノは突っ込み、この際に刀身に竜巻を想像させる勢いで風の魔力を纏わせ、更に火属性の魔石から魔力を引き出す。
蒼月の刃に竜巻と炎が発生し、やがて刃に火炎の竜巻を纏う。蒼月は魔力の伝達力が荒正を上回るため、合成魔術も瞬時に発動させる事が出来る。それを利用してレノは刃を振り払い、城壁に存在するゴブリン達を一気に薙ぎ払う。
「吹き飛べぇっ!!」
『グギャアアアッ!?』
城壁の上に立っていたゴブリンとホブゴブリンの殆どが火炎の竜巻によって吹き飛ばされ、火だるまと化しながら地上へと落ちていく。この際に城壁の上に繋がっていた縄梯子も燃えてしまい、地上から登ろうとしていたゴブリン達も巻き添えを食らって落ちていく。
「ギィアアッ!?」
「ギャウッ!?」
「ギャンッ!?」
地上の方では全身が炎に包まれた魔物達が次々と墜落した事により、地上に存在した他の魔物達も被害を受ける。その光景を確認してこれでどうにか城壁に乗り込んできた魔物の殆どを一掃する事に成功したレノは額の汗を拭う。
「はあっ、はあっ……」
「お、おい!!あんた、今の凄いな!!」
「思い出したぞ、あんたこの前にドリスさんと一緒にゴブリンキングを討伐した剣士だろ!?」
「まさか、こんな凄い魔法剣が使えるなんて……」
レノの元に兵士達が駆けつけ、彼の魔法剣を賞賛した。非常時でなければレノも素直に喜べたが、城壁にはまだ残党がいるため、油断しないように注意した。
「まだ、戦闘は終わっていません……皆さんも頑張ってください!!」
「あ、ああっ……」
「よし、あと少しだ!!」
「王国騎士様達が来てくれたんだ!!もう大丈夫だぞ!!」
「うおおっ!!とっととくたばりやがれ!!」
心強い援軍が駆けつけてくれた事で兵士達の士気が上がり、城壁に残っていたゴブリンの群れの対処を行う。その一方でレノは疲労感に襲われ、先ほどの火炎旋風で大分魔力を失っていた。
蒼月は魔力の伝達力が早く、瞬時に魔法剣を発動させる事が出来るが、同時に魔力の伝達力が荒正と比べて早すぎるため、上手く調整しないと余分に魔力を失ってしまう弱点もある。こればかりはレノが蒼月を使いこなせなければ意味はなく、先ほどの攻撃でレノも大分魔力を削られてしまう。
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