第309話 ゴブリンキングVSドリス&レノ
「行きますわよ、レノさん!!」
「了解!!」
「ギアッ……!?」
レノとドリスはゴブリンキングが混乱している間、互いの剣の刃を重ね合わせると魔法剣を同時に発動させて爆炎の刃を放つ。
「「爆炎刃!!」」
「ギアアアッ!?」
ドリスの烈火とレノの蒼月の刃に魔力が流れ込むと、爆炎と嵐の魔力が合わさって爆炎の刃と化す。以前よりも二人とも魔力が強まっており、今までの中でも一番の規模と威力を誇る爆炎の刃がゴブリンキングの身体へと襲い掛かる。
攻撃をまともに受けたゴブリンキングの身体に爆炎が襲い掛かり、必死に炎を振り払おうとするが、魔法の炎は簡単には消し去れない。ゴブリンキングが苦しんでいる間にレノとドリスは駆け込み、今度は別々に攻撃を繰り出す。
「爆砕!!」
「地裂!!」
「ギァッ……!?」
今度は下半身に向けてドリスは爆発を強めた一撃と、レノは下から刃を繰り出して強烈な斬撃を浴びせる。ゴブリンキングの両足に切り傷と炎が襲い掛かり、ゴブリンキングはしりもちを着く。
(よし、このまま押せるか!?)
奇襲が成功した事で予想以上にゴブリンキングを追い詰める事に成功し、このままならば倒せるかもしれないと思われた時、周囲を取り囲む火炎から鳴き声が響く。
『ギィイイイッ!!』
「く、くそっ!?こいつら、思っていたよりも早い……うわっ!?」
「油断しないで!!一瞬でも気を緩めれば殺される!!」
「で、でも流石にこの数は……!!」
ゴブリンキングとレノ達を取り囲む炎の向こう側からネココと他に同行していた者達の声が響き、あちら側でも戦闘が始まったらしい。炎に取り囲まれているとはいえ、魔物の軍勢がゴブリンキングを助けるために動き出したらしく。それを抑えるのがネココ達の役目である。
最初の火炎瓶でゴブリンキングを取り囲むように炎を撒き散らし、敵が混乱している内にゴブリンキングを倒すのがレノ達の役目だった。他の者は魔物の軍勢がゴブリンキングの加勢を抑えるために行動するのが作戦の第一段階だった。
(早くこいつを何とかしないと……!!)
トレントの樹液で作り上げた炎は長続きはせず、あと10秒もすれば炎は完全に消えてしまう。その間にドリスとレノは何としてでもゴブリンキングを倒さなければならなかったが、ここで半身を炎に包まれた状態でゴブリンキングが暴れ出す。
「ギアアアッ!!」
「きゃっ!?」
「くぅっ!?」
炎に焼かれながらもゴブリンキングは無我夢中に拳を繰り出し、その圧倒的な腕力でレノ達を叩き潰そうとしてきた。樹木を引き抜き、数百メートルも投げ飛ばす程の腕力で殴りつけられれば命はなく、必死にレノとドリスは攻撃を回避した。
(くそ、やっぱりあれを使わないと駄目か……!!)
ここでレノは収納鞄に手を伸ばし、事前にアルトから渡されていた物を取り出す。それは火属性の魔石と樹液が入った「小樽」であり、魔狩りが使用していた「樽爆弾」を小型化したものである。
あの土鯨をも倒した樽爆弾を利用し、ゴブリンキングを打倒するのがアルトの作戦だった。小型化したとはいえ、火属性と樹液が満たされた樽を引火させれば途轍もない爆発を引き起こし、ゴブリンキングであろうと倒せる可能性は十分にあった。問題なのは引火させる場合はレノとドリスが同時に攻撃を仕掛けなければならない。
(もう一度ドリスと魔法剣を合わせないと……!!)
土鯨を倒す際はレノとドリスは「爆炎刃」を使用した。アルトの見立てでは土鯨を倒せたのは二人が生み出した超火力の攻撃が決定打であると考え、普通に火属性の魔石を発火させて爆発を引き起こすだけでは土鯨を倒せかった可能性もあった。
土鯨を倒した際に発生した爆発の威力は火属性の魔石の暴発だけが原因ではなく、レノとドリスの爆炎の一撃によって通常以上の爆発を引き起こした。それならば二人が最大の一撃を食らわせれば小型化かされた樽爆弾でも通常以上の爆発を引き起こせる可能性も十分にある。
(まずはこいつの動きを止めないと……!!)
レノは蒼月に視線を向け、鞘に刀を収めると魔力を集中させる。その様子を見てドリスはレノの意図に気付き、彼が魔力を集中させている間にゴブリンキングの邪魔が入らぬように注意を引く。
「爆火斬!!」
「ギィアッ……!?」
暴れているゴブリンキングに対してドリスは烈火を横薙ぎすると、爆炎が広範囲に広がってゴブリンキングを怯ませる。その間にレノは魔力を集中させると、ドリスの放った爆炎が消えた直後にゴブリンキングに向けて刃を放つ。
「――嵐断ち!!」
「ギァアアアアッ!?」
鞘から引き抜かれた刃から高密度に圧縮された風属性の魔力の刃が放たれ、ゴブリンキングの右腕を切り裂く。腕を切り裂かれたゴブリンキングは悲鳴を上げてその場に膝を着くと、それを見たレノは樽爆弾を取り出す。
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