第37話 一線を越えてしまった
大人しくついて来てしまった。
部屋は女っ気のない、数台のパソコンとモニタと、サーバラック…なんでこんなところに?まるで男部屋ってレベルではない何かだった。
部屋に入って暫く経つと、ドアについているポストにコンドームが投函された。
俺がソレを回収している間に彼女はベッドに潜り込んでいた。
まるで俺を誘うかの様に。
しかし、この部屋は誰かを思い出しそうなきがする。
そのもやもやが取れない。
「どうしたんですか?」
「いや、何故か大事な誰かの事を思い出せなくなっているんだが、それがもやもやしているんです。すみません、変な事を言っていますね」
「気にしなくていいですよ、それってどんな関係の人ですか?大事な誰かって彼女の事ですか?」
「ああ、女性…ではないんですけど、会社にとってなくてはならない、俺の大事な……思い出せない」
「じゃあ…その人ってどんな人ですか?話している内に思い出すかもしれないですよ?」
「そうですね、えーと、頼りない…、そうです、頼りないんです。放っておけなくて、手がかかる、部下、そうだ俺の部下だ」
「それで、その人のお名前は?」
「それが思い出せないんです、少し考えるのをやめましょう、頭が痛くなってきました」
「じゃあご休憩にします?」
「本当に俺でいいんですか?」
「ええ、尻軽だと思いますか?」
「正直に言えば、少し」
「いいですよ正直ですね。私もそう思っています。実は体験してみたいだけですから。でも知らない人とは嫌なんですよね、何か無茶苦茶な事をしそうで」
「お、俺が無茶苦茶しないという保証はないですよ」
「しませんよ、きっと大丈夫です。ですが、私も初めてなのでリードしてもらえると嬉しいのですが」
そういって、いまさら恥ずかしがっている彼女は魅力的だ。
俺はベッドに座り、決意した。
「後悔しても知りませんよ」
◆ □ ◆ □ ◆
ヤってしまった。
気持ち良かった。何回出したか数えていない程だ。
しかし、口へのキスは嫌だと言ってさせてくれなかった。
最初は下着を履いていない事に衝撃を受けた。
ブラだけじゃなく、スカートの下も履いていなかった事に、痴女かと疑った。
ちなみに、乳首は絆創膏を付けていた。
一体、どういうプレイなんだよと思ったが。剥がして存分に堪能してしまった。
入れる時には「死ぬ死ぬ」と痛がってはいたが、途中からは良い感じになってくれたらしい。出血から言って、処女だった事は間違いなかった。
そうして無事童貞を卒業できたわけだ。
正直に言えば、俺は完全にランさんに執着している。
これから、何か明かされてもきっと俺はランさんを好きでい続ける事が出来ると確信した。
「やっぱり、女の体はすごいですね、感度が違う」
「うん?それはどういう意味ですか?」
「黙っていた事が一つあって、怒らないでほしいんだけど」
「どんな事ですか?大抵の事は大丈夫ですよ」
「あゆ…一ノ瀬と同じなんです」
「ん…つまり、気が付いたら女になってたってやつか?」
「はい」
「ま、まぁ、それくらいなら、まぁいい、いいですよ。今は完全な女の体ですし、それで、本名は何というのですか?」
「
「うん…?」
「
「むぎ…むら……」
あれ?どこかで、聞いた名前だ。
麦村麦村麦村麦村麦村麦村麦村…。
麦村?
「麦村ぁぁぁあああ~~~~~!」
「あああ。怒らないって言ったじゃないですかー」
「ああ、元が男だった事や名前を伏せていた事は怒らんよ」
そうだよ、俺は怒ってない、お前が居ないと困るんだ。
全く、俺の部下は手間がかかる奴らばかりだ。
「じゃあ何に怒ってるんですか?」
「ほぼ一週間も欠勤した事だよ!」
────────────────────────────
以上でこの章の本編は終りです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
応援、評価、コメント、本当にありがとうございます。
現在、全部説明してしまいたい私と、謎は謎のままで置いておきたい私が喧嘩しているので次章を気長に待っていただければ幸いです。
(前回、前々回の話で当初想定の話の流れから改変しすぎたせいで説明文と乖離してしまった。どう変えようかな…)
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