第35話 迫られる潤井さん
俺の目の前にいる女性は一体誰なんだ?
そもそもどこから連れて来たんだ?
一ノ瀬の知り合いだと言う事は間違いない。
わかっている事はそれだけだ。
目の前の女性は見た感じ、20歳にも満たない様に見える。
20歳だとしたら20歳差だぞ。これはこれで犯罪じゃないのか?
そんな彼女はサラサラの長い髪に、クリっとした目。かなり可愛いのだが、化粧をしていないように見える。
スッピンでも可愛いのは素晴らしい。そしてDかEカップくらいありそうな胸。
笹原さんほどではないが、十分にでかい方だと思う。
そんな子がまじまじと俺を見ている。
「な?な?可愛いだろ?でかいだろ?」
「って、一ノ瀬っ、彼女に失礼だろっ」
「ふはは、ほらほら、でかいだろ。潤井さん、でかいの好きだよね?」
「ちょ、あゆっ、感じるからヤメっ、あっ」
正座する彼女の後ろからおっぱいを鷲掴みする一ノ瀬のそれは、俺の動揺と笹原さんの嫉妬を煽った。
悶える姿を見て少し興奮してしまう。
「あの、あゆむちゃん?ちょっとお話があります」
「え、あ、あの、はい」
二人は部屋を出て廊下に、さらに軽いドアの音がしたから多分お風呂場かトイレに連れ込まれたようだ。
笹原さんから黒いもやがあふれ出てる様に感じれたが、あれはかなり怒ってるな…。
「潤井さん、私みたいな子、嫌いですか?」
「い、いえ、そ、その、す、す、す、素敵だとっ素敵だと思いますっ」
ヤバイ、
変な男と思われたくない。しかし女性経験が少ない俺にとって、この状況は辛すぎる。なんで、いきなり二人きりにするんだよっ。
彼女の指が、俺の太ももを上下になぞる。
これ、どう見ても誘ってるよな…。
まてまてまて、冷静になれ俺っ。
こんな若い子がおっさんの俺を一目見ただけで好きになるか?ありえんだろう?
一ノ瀬の行動といい、これには裏があるっ。
しかし、服の谷間から見える胸が俺を誘惑す…。
ノーブラかよっ。
「「あ」」
二人同時に反応したのは、俺の鼻血だ。
あまりにも興奮しすぎたせいか、出てしまった。
情けない。
「ティッシュっティッシュっ、ほら詰めて詰めてっ」
「す、すみません」
「横になって、ほら」
膝枕っ!
「うわああああ、鼻血が噴水の様に出たっ」
「あああ、すみません、すみません、あ、服にまでっ」
「これ位いいですよ」
あらかた拭き取ったら、改めて膝枕をしてくれた。
もう俺、死んでしまうかもしないな。
静かに目を閉じた。彼女の膝枕で死ねるのなら悪くない…。
というか目を開ければ胸のボリュームが迫ってくるのでまた鼻血が出てしまうので目を開けれない。
ガチャ
ん?ドアを開けた音?二人が外に出た?コンビニにでも行ったのか?
まさか、気をきかせた?
俺、まさか、ここで童貞を奪われちまうのか…?
って初めて会った相手にそれはないだろっ。
「大丈夫ですか?潤井さん、ぷ」
「ぷ?」
目を開けて確認すると、彼女は吹き出しそうになるのを堪えていた。
鼻血を出しそうなのがそんなにも面白いのか?変な子だな。
「あの、お名前を聞いても?」
「えーと、ランって言います」
「ランさんですか、どんな字を書くんですか?」
「えーと、えーと、ひらがな…です」
ひらがなというのが恥ずかしいのか?歯切れが悪い感じがする。
「私の名前を知っているようでしたが、どこまでご存じなんですか?」
「それはですね、童貞の40歳、彼女いない歴イコール年齢、姉が男好きで一人暮らし─」
「ちょ、ちょっと…、一ノ瀬の奴、後で覚えとけっ」
「あと、苦労性で、それなりに慕われていて、女友達からはいい人って評価ですよね」
「そ、そういわれると照れますね」
「でも、いい人って彼女にはなれない人の言い分なんですよね」
「はは、はははは、ソウデスネ」
チャッチャチャラッチャッチャラチャー
ピッ
ランさんのスマホの着信音だ、どこかで聞いた事があるが、どこだっただろうか。
「はい、うーん、聞いてみる、ちょっと待ってて」
「あの、あゆ…ちゃんからの質問なんですが」
「はい」
「コンドームのサイズってどれくらいですか?」
「え?」
「買ってきてくれるって」
「普通だと思いますが、俺が誰とするんですか?」
「え、したくありません?私と」
「初めてあったばかりの俺にそこまでするんですか?いままで何人も食ってきたんですか?」
「まぁ私も初めてですが、潤井さんならいいかなって」
どうして俺なんだ?一目惚れ?一目惚れなのかっ!?
それでいきなり肉体関係を求める?処女で?
これは間違いなく、罠だ。
実は、下にイチモツがついているとかか?
長めのスカートに隠れてわからん、だが膝枕をしてもらった時にはそんな気配はなかった。
「あと、もしするなら、自分の部屋でやってほしいって言っていました、うちに来ます?」
「あ、まぁ、するしないは兎も角、ここにいつまでも居たら笹原さんにも悪いですね」
そうして大人しくついて行った。
そして、彼女の部屋は笹原さんの隣だった。
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