霊感の強い友達②

霊感の強い女友達が私の部屋へ泊まるようになってから、私は毎晩変な夢を見るようになった。

それは九州の叔母さんの家で、私がゴロゴロ寝転がっている夢。


広い畳の部屋で私がゴロゴロしていると、

叔母さんちのお風呂場に置いてあるはずの2つのクマのお人形が、いつの間にか畳の部屋の扉の前にいて、ゴロゴロしてる私をじっと見ている。

ただそれだけの夢なのだけど、その瞬間から必ず金縛りにあい、無理やり体を動かして金縛りを解き目を覚ますと、時刻が必ず夜中の2時40分ピッタリを指している。

そしてもっと怖いのが、

ハッとして、隣に寝ている霊感の強い女友達を見ると、寝ているはずの女友達の目がくわっと見開いたままで、薄暗い闇の中じっと私を見つめていること。


「怖ええええよ!!!!www」


張り詰めた暗闇の恐怖を誤魔化すように

大声で女友達にツッコミを入れると、


「金縛りになってた。動けなかった」

と、言う。

それが何日も続いた。


自称霊能者の男子、

脇山くんから言われたのは、“14歳の誕生日の1ヶ月後に死ぬ”という事だったが、

誕生日を迎えてからもう3週間が過ぎ

死の予言の日があと一週間たらずなことに、私は焦りを感じ始めていた。


なぜクマの人形の夢を見るのか、九州の叔母さんちになにかあるのか、

霊感の強い女友達…小夜子ちゃんと沢山話し合ったけど、小夜子ちゃんにも理由は解らないと言う。

私が本当に14歳で死ぬのだとしたら、その理由はなんなのだろう?


「もしかして…ドッペルゲンガーなら知ってるかもよ」

「え!例の私のドッペルゲンガー??」

「うん。もしいたら、私が聞いてきてあげようか?」

「えええ!!!声をかけたら逃げるらしいけども??」

「うん…」

(??? 追いかけるつもりなのかな?www)


中学2年生の夏休みを過ごしている私達は、

結局は怖さよりも、ワクワクやドキドキの方が勝っていたのだと思う。

私達は、私のドッペルゲンガーが現れるという駅前に、見に行ってみることにした。


夜8時を過ぎた駅前には、学生からサラリーマンまで、まだ沢山の人の数があった。それは少し安心感でもあったのだけれど。

ふとこの人混みに紛れて、

急に真っ赤なスカートと真っ赤な帽子をかぶった私が現れたら…私は確実に目が合うよな?

などと想像してしまい、少し怖くなってなんとなく駅に背を向けてから、小夜子ちゃんの方を見た。

横を一緒に歩いているはずの小夜子ちゃんは、私の3mほど後ろに突っ立っていた。

対面して立ち止まっている私達。

私は小夜子ちゃんに話しかけた。


「ねぇ!!私は私のドッペルゲンガーを見たら、駄目なんだよね??」

「うん、後ろを振り返らないでね」

「え??」


よく見ると小夜子ちゃんの顔は真っ青になっていて、私の後方斜め上の空の方を見て、

大きく目と口を開けていた。

その表情を見たとき、私は小さな悲鳴をあげた。

だって小夜子ちゃんのその顔が、物凄く怖い。

物凄く怖くて私は、

立ったまま金縛りにあったみたいに硬直して、小夜子ちゃんの顔を見続けてしまった。


小夜子ちゃんは私の後方斜め上の空を、

口を開けたまま真っ青な顔で見続けている。


ふと私の頭の中に、毎晩見るクマのお人形の目がよぎった。クマのお人形の目。

私を見るクマのお人形の目が、頭から離れない。


どれくらい時間が経ったか分からないけど、小夜子ちゃんが「行こう」と言ったので、私は振り返らずに駅に背を向けたまま、自転車を停めた駅付近のコンビニまで歩いて戻った。

そして、どちらが言い出したか覚えてないけど、“自称霊能者の男子、脇山くんに電話をしてみよう”という話になった。

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