霊感の強い友達シリーズ

霊感の強い友達①

中二の夏

喋ったこともない違うクラスの男子から

「あなたは14歳の誕生日の1ヶ月後に死にます」

と、廊下ですれ違いざまに言われた。


もちろん、相手にするつもりはなかった。

が、14の誕生日を迎えた頃から、私の身の回りでは奇妙なことが起こり始めた。


その頃、女子バスケットボール部に所属していた私は、本来夏休みも変わらずにある朝練や昼練にも出なきゃ行けなかったのだけど、夏休みは毎年お婆ちゃんのいる九州へ数週間の旅行に行くので、今年も長期休む旨を先輩やコーチに伝えていた。


ヤンキーの多い部だったが、後輩に優しい先輩ばかりで、嫌な顔せず休みたい時は休ませてくれる。


しかし、旅行から帰えりお土産を持って久しぶりに部活に出ると、どうもみんなの様子がおかしい。

一人の先輩が、

「あのさ、お前本当に旅行に行ってた?」

と私に聞いてきた。


「??はい?行ってましたよ笑」

「…実はさ、お前が旅行に行ってるはずの先週の金曜日、駅前でお前を見たんだよね。」

「え??wあり得ないすよ先週は九州にいましたもん!」

「いや、絶対お前だった!真っ赤な帽子かぶって真っ赤なスカート履いて、私が声をかけたら慌てて逃げたじゃねーかよ」


確かに私はその夏、真っ赤なスカートと真っ赤な帽子がお気に入りで、旅行先でも何度も着まわしていたから、先輩のこの発言には本当に驚いた。


「え!それ私ですね!!www」

「だろ?!?!お前だったもん絶対!!」

「やwwでも私本当に九州いたんで!!wwすご!!!ww誰だそれ!!ww」


私は普段嘘もつかないし、こういうキャラだったため、先輩たちも一緒になって面白がり笑って話は終わった。しかし


真っ赤なスカート真っ赤な帽子の私を見かけた話は、この先輩だけに留まらなかった。


その後も同級生の男子や女子、職員室の先生からも、同様のことを言われた。


皆、決まっていうことは

①真っ赤なスカート真っ赤な帽子の私が

②駅前にいる

③声をかけると、慌てて逃げる


最初は面白く感じ笑っていたのだが、

こうも何人もいると、なんだか不安になってくる。

誰だろマジで。


会ってみたいという気持ちに変わり始めていたけど、

霊感の強い女友達に一部始終を話すと


「それドッペルゲンガーだね。自分のドッペルゲンガーに会うと死ぬよ」


と真顔で言われたため、

怖くなって会いたいと思わなくなった。


(会うと死ぬのか…。)



その夏は中学2年生というのもあり、

夜からは友達との泊まりっこや夜遊び、塾の夏期講習に参加するなど、忙しい毎日を過ごしていた。


私が自称霊能者の男子…脇山くんから“誕生日の1ヶ月後に死ぬ”と言われたことは、学年中の話題になっていたので、

塾で合う知らない女子からも「言われたんだってね〜!www」と、笑われたり、

塾には違う学校の人たちも勿論いたが、“同級生の女子が14歳で死ぬ予言をされた”

というキャッチャーな話題は瞬く間に塾内でも共有され、学校の違う生徒からも、会うと面白がられ声をかけられていた。

その中の一人の女子が

「本当に気をつけたほうが良いよ」

などと言い、さっと私の目前から走り去るなどするので、なんだか気分も悪く、気にもなる。


この話を霊感の強い女友達に話すと、

「霊感の強い子なのかもね?結構いるからそういう子」

と、言う。

(どういうこと?ww)


私は、自称霊能者の男子、脇山くんの言葉が気になるようになっていった。



誕生日から半月がすぎる頃には、恐怖心が私の中で広がり

その霊感の強い女友達に相談して、それからは毎日私の部屋へ泊まってもらうようにしたのだけど。いま思えばこれが悪かったのかもしれない。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る