第2話 パーソナルスペース

私が生きる部屋には扉が1つだけ。

この扉は私の意思では開けられない。


誰かが私に手を差し伸べてくれないと、私はここからは出られない。


私が生きる部屋には扉が1つ。

私はこの扉を開けようとはしない。


自分から踏み出すのが怖いから。

勇気を出しても、傷つくことしかイメージできないから。


私が生きる部屋の扉から光が入る。

決して私が開けたわけではない。


誰かが私を見つけてくれた。

その人が私を必要としてくれた。


私は部屋の外へと踏み出した。

そしてまた戻ってくる。


あなたが私の隣からいなくなったから。

あなたと会うことはもう叶わないから…


私の部屋の扉は無くなった。

そして他人との間にあった溝がはっきりと見えている。


だけどもう怖くない。

あなたが橋を作ってくれたから。

あなたが踏み出す方法と勇気をくれたから。


私は度々この部屋に戻ってくる。

それでも自らの意思で踏み出す。


人は1人では生きていけないから。

周りの人の大切さをあなたが教えてくれたから。


私は人と繋がることを諦めないことにした。

そうしたいと自分の心が願ったから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る