第9話 よろしくお願いします
猫 体が非常に柔らかく頭周辺以外ほとんど舐めれる。内蔵を前後に動かす事ができるので狭いとこも通れる。鎖骨は退化しているもののあるので高い所からの着地の衝撃を吸収してくれてる。
瞬発力は高いが長くは続かない。隠れたり待ち伏せしたりするのに有利。
視覚は対象の動きを捉えることが得意、8mは人の顔がわかり20m以内ならじっとみることで距離がわかる(それを中身が人間で出来るのか試さないといけない)
わずかな光でもよく見えるが、だからこそフラッシュなどに注意。人と違うのが赤青緑は一応分かるけど赤は薄いピンクだそうだ。
耳が一番凄い。片方バラバラに動かし色んな方向から聞ける。音源の場所も正確にわかる(試す必要あり)
嗅覚は他の動物程ではないものの人より優れてる。
「そしてヒゲは猫の種類によるが、顔の周りをぐるりと一周してるくらい多い…と」
爪はチーター以外出し入れできる、尾でバランス取る。
後はこのノートに調べた猫の写真と軽くメモした説明をいれれば完成。もし虫や恐竜にもなれるのなら覚える事がたくさんあるから向こうでもたくさん試さないといけない。なので頭に入らないので常にノートを持って向こうでの待ち時間などに読むことにした。
持っていく物にノートを追加して布団の中に入り目を閉じる。
「…oh…まさか……………。一応また銃持ってきたぜ…」
うっすらとアーロンさんの声が聞こえ始めた。
「おうおう!俺ぁいつもの鉈だ!へへ、2本もってこれたぜ!すんげぇ切れ味なんだ、俺が研いだんだ!」
「…よし!完全に目がさめたわ!さて!あたしは武器持ってこれなかったわ!」
じょじょに起きる人が増えて話してる人も増えていく。
「ご、ごめんなさい私も…」
「使うか?!強えぞ!」
「…え、あ…その私…ナイフの方が…あまり運動得意じゃないから」
「そうか!へへ!今回二刀流で行こうかな!」
そして何を思ったのか、いや、場を和ませるためなのかロンさんは布で巻かれた鉈を持ちながら決めポーズをとりはじめた。
そんな中私は皆のとこへ行く前にここで読むものと持っていくものをわけていく。今回は少し奮発して日本包丁というのを買った。バイトで厨房を見てると日本包丁使っているのだが非常に切れ味が良すぎるのでとても慎重な扱いをしている。普通の包丁より確率は高そうだと思う。そして何かあったときのために果物ナイフも持ってきた。
「…す。持ってこれてないっす」
少ししてまた一人起きては挨拶しに行く。
私ももう目も覚めて行く準備はできてるのだが、なかなかこういう輪に入っていく事に慣れないので準備してるふりをしてしまう。なるべく無難そうな位置はどこだろうか…。そう考えてると何かが物凄い勢いで走っていくのが見えた。
そしてなぜかジャンプして立ち止まる。
「このまま何もせんのもあれやし、皆が起きるまで動きを身に着けよ!」
木村さんだった。
えー!という声が上がるものの動きやすいよう広がっている。少し整列してるので後ろに並ぶのにこっそり入れそうか…。
「…ねぇ…」
一応横で声が聞こえるけど私に言ってるのか聞き間違いか分からないので取り敢えずノートを開く。
「菫さん」
「…!あ、はい、あの、はい」
慌てて声の主の方へ顔を向けるとジャネッサさんがこっちを見ていた。目と目があってるだけでも色々な感情や感覚が爆発した。
「…これ」
そう言って隣に座って紙袋を渡された。
「貴女ももしかしてと思って…貴女の分も持ってきたわ…」
綺麗に畳まれた物を受取り広げると彼女が初めてオペラ歌手として出た時に歌っていたカラスの様な色のドレスとサインが書かれた色紙が入っていた。
「……あ、あ、…ありがとうございます…!あ、あの、す、好きで、オペラの時のDVD……あああって…!」
「たくさん聞いてくれてありがとうね…」
「このこのこの、このじょ、じょ、お母さんのす、凄く怖かったです…でもなんか…メロメロになって美しいというか…………」
その後に続く言葉も何も思いつかないので紙袋に丁寧に畳んで仕舞う。
「そこまで聞いてくれてたなんて嬉しいわ…。…あら、そのノート…テスト用じゃあないのね。…猫かしら…?」
「は、はい、あの、もし動物になれた時のために。お、覚えるの大変だから始まるギリギリまで叩き込もうと思って…。今回虫や恐竜にもなれるのかも試そうかと」
「それはいいわね…私も読んでもいいかしら?意外と動物ってよく見かけるけど知ってるようで知らない事だらけなのよね…」
「だ、大丈夫です、あの、はい…!」
見やすいようノートをジャネッサさんと自分の間で持ち直す。猫本来の動きを見た目猫で中身人間でどこまで引き出せるか…最大限引き出せたら他の動物も引き出せるからそうだといいな。と言ってもこれを仕組んだやつの気まぐれでこうなったらしいから、いつ出来なくなるか。出来なくなった時のためにも人間での生き延び方も考えなければならない。
随分と大変なことだ。
周りもぞろぞろ起きてきた。最後の拓也さんが完全に起きて元気になった頃に5:00という数字が出た。大急ぎでノートを置き包丁を持つ。
口早に西さんが、小さな事でもいいので気になったら報告。何に変身できるのかなるべく確かめること。武器を持ったかなど伝えていった。
「菫さん」
皆が気合い入れたりストレッチしてる中、西さんが小声で話しかけてきた。
「次からは私についてくるようにね。よろしく」
「…あ、い、よろしくお願いします……」
あたたかい夢の中で ゆめのみち @yumenomiti
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