第6話 月曜日

 今日さえ生き残れたら明日と明後日の定休日で2日休みだ。月曜日の夜、ひとり暮らしでこれ程までに良かったと思える事はない。動きやすさを考えて中古だけど服を買った。靴はたくさん試し履きしてエアの入ってる靴を買った。これで前よりかは楽だろう。

 あれからもずっと雑談が続いていた。明るい人のパワーは計り知れない。その中で話の区切りで皆が話さなくなったときに少しだけ質問してほんの少し知れることができた、と思う。

 現実で持って寝てるなら向こうにも持っていける。が、帰ってきたときそのまま寝てるから怪我しないように気をつける事。

 なので包丁を蓋付きの角のないシリコンが入ってるから微妙に固くないような気がするなんともあやふやな箱を対策に使ってみる。

 始まる時間はいつもバラバラで皆が起きて数秒でカウントダウンが始まった事もあるからお話はできない、次会ったときは自己紹介。その後からはグループにも入れない人に向けてグループでした報告等をするのが優先。

 次。場所は、私達は不利だからこの地球なのは絶対、昼か夜かはランダム、場所もランダム。ランダムで法則性がないのは学者やその学生などが来るたび考えて皆がそう結論を出すのでその可能性は高い。

 なので服の色はどこの国かも分からなければ昼夜もバラバラだからどの色でも目立ってしまう場合がある。

 だからおしゃれなやつを着る人も居るそうだ。といっても私は遊びに行くでもないのに可愛いのを着てボロボロにしたくないから無地の地味めな色のを着ていく。

「包丁おっけ、靴紐の調整もおけ、靴もはいたし、デジタル腕時計も使える状態、ブツブツのある軍手。今回はこれで行ってみよかな」



「皆さん起きましたね。始まる時間はいつもバラバラで数秒しかなかったりする時もあり時間がそんなにないのでまずは自己紹介から。私は西 里穂です」

「秋田由美子です」

「木村龍太郎や!空手やってるからもし時間が余ったら身を守れるようになるべく教えてくから安心してな!」

「ジェシカ・シェパードよ」

「キム・ドユンだ。二度目で理解しただろう。次からは忙しい中何かをしながらで良い、少しずつでもいいから鍛えていこう」

「鈴木隆史です。よろしくお願いします…」

 これで先輩の自己紹介が終わったかな、と思ったら秋田さんの後ろから小学生の男の子が顔を出した。

「…岩本 いつき…よろしくです」

「あれ、雄介ゆうすけ、同じ年じゃないかい、お友達になれるんじゃないかい」

「うん、後でお話してくるね」

「そうだねぇ、わつぁしは誠治でこの子は雄介ゆうしゅけなんだよ」

「よろしくね!」

 雄介が握手の為に手を出すと岩本さんもおずおずと出てきて手を握った。

「いいわね!あたしはオリヴィアよ!あたしもよろしくね!」

 そう言った後オリヴィアは子供達から皆の方にも向いてもう一度挨拶をする。

「あたしチアやってるの。向こう側に行ってスイッチ押すとかチアの応用で何かやれる事あったら成功させてみせるわ!」

「…あ、アシュリーです…よろしくお願いします…」

「あら!アシュリーは昔の本や今の本色々読んでるから知ってる事色々あるかもしれないの!それに賢いのよ!学生だからってなめちゃだめよ!」

 相当自信ないのかアシュリーは小声で否定したりしている。

「……アーロン。アーロンだ。夢なのかよく分からないから念の為常に銃を持っていてよかった…もう一つあるから経験者に渡そうと思うから後で言ってくれ。銃弾はその時に渡す」

 銃なんてドラマやアニメでしか見たことはないが、アーロンの持っている箱の中には多分ピストルみたいなやつが2つ入っていた。

「おお!武器なら俺も持ってきたぜ!寝るとき危ねえから布と薄い板でぐるぐる巻にしてきた!鉈持ってきた!残念なことに怪しまれるから一本しか持ってこれねかったが…大丈夫そうな時持ってくるさ!」

「ロン。この自己紹介しないやつはロンって名前よ。全く、あんたの事なんて呼べばいいかわからなくなるでしょ!」

「おっとそうだった!へへ!」

 そして何を思ったのか厳重にぐるぐる巻にされた布を外していった。嵐のような人とはこういう事なのかもしれない。けど、素で楽しい気分にさせるから正直尊敬する。

李俊杰リージュンジェと申します。わたくしもお持ちしました」

 と見せたものは一度ドラマで見たことある、指にはめてグーで殴る道具とよく使われるトンカチと斧が1本ずつ。

「この斧はハンドアックスですので、斧ですがそんなに重くありませんのでご安心ください」

「ウィリアム・ブラウンだ。子供が居るので果物ナイフしか持ってこれなかった」

「張 亮…す。俺んとこは普通に怪しまれるんで無理した」

「私はジャネッサよ…護身用に拳銃を持ってるから持ってこれたわ…よろしくね」

「え!!うっそぉ!」

 いや夢よ、なんてオリヴィアの戸惑う声が聞こえたから復習をやめジャネッサを見ると考えがピタッと止まった。皆オリヴィアが何に反応しているか分からないのでジャネッサを見つめながらしんとしている。

「…えぇ、ジャネッサ・ジェンキンスよ…歌手をやっているわ…」

 目元が二重でキリッとしてまつげが何もしていないのに長い。その黒めの肌に黒い艶のある髪の毛がウェーブして肩まで伸びて更に魅力を引き立たせる。立ち振る舞いといいどこかしこを切りとって見てもセクシーなのだ。

 彼女の歌はとてもパワフルで音域がとても広い。マイクなしでバリトン並からホイッスルボイスでずっと高くまでの歌声を観客にまで届かせる事ができる。元々オペラ歌手から来ているから出来ることなのか、こんな場所でちょっとあれだけど生でこの目で見られるなんて感動する。

 おまけにオリジナルの歌は全て彼女が考えている。どれくらい彼女に勇気を貰ったり幸せな気分になれたか。

「ほ、ほ、本当に、生きてるうちに見られるなんてうっそ…あたし、あ、あたしいつも聞いて…えぇ…」

「ありがとう。でも今時間ないのよね…次来るときにサイン持ってくるわ…最後、貴女よね」

 こちらに笑顔で顔を向け続きを促してくれる。

 …いいなぁサインうちも欲しいなぁ、なんてこれから始まる悲惨な事が起こるのにそんな悠長な事を考えてたら死んでしまう。

「……す…あ、竹中 菫…です。包丁、持ってきました」

 好きです、と思わず心の中の言葉が漏れ出すところだった。

「さて、皆さん終わりましたね。前回赤ちゃんが猫に変身しました。なので今回誰でもなれるのかどういう感じでなれるのか隠れながら色々試そうと思います。が、この子にしかできない事かもしれないので変身できるからと安心しないように。そして各自持ってきた武器を持ちましょう」

 肉きり包丁や鉈、催涙スプレーなどゴロッとキムさんが置いた。先輩方も持ってきたのだろう。

 皆が選び終わった後、まだ時間があったので木村さんが張り切って空手を教えてくれた。

 その間に雄介さんがとことことやってきた。

「あのねおじいちゃん、昔二番目の息子を事故で殺されちゃってそのショックが今来たみたいで僕の事息子と思ってるんだ。だから本当は拓也だけど雄介として話してくるけどお父さんみたいにしてるけどおかしくないからね」

 と言って他の人のとこに歩いていった。なんだか毎週月曜日に衝撃的な何かが起こってくるから脳みそが追いつかない。


約30分後、カウントダウンが始まった。

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