第4話 どうしようもない
まだ突然の暗闇に慣れてないので胸がヒュッとなった。もう終わったのかな。ただ暗闇の中で音も感触もにおいも寒いのかも何もかも分からない不思議な感覚。それが自分の中では数秒だと思っている。少ししたらさっき居た場所に居たからだ。何かの錯覚みたいでくらくらする。
「…報告、私の所は皆無事生き残れました」
そう言った女性の腕には赤ちゃんがぐっすり眠っていた。落ち着いてるだけあって慣れているのか。
「秋田です。私達も無事生き残りました」
「デビットです。僕達も無事です」
「……鈴木です…すみません…自分のところは…1人…新しく来た農家のお爺さんが」
「ジェシカです。あたしのとこも…こちらも新しく来たアメリカに住んでいる小学生の姉妹が…」
「キムです。俺の所は無事です」
「龍太郎です。おれんとこも無事やで、です」
銃声とヘリコプターの爆発させるような音…たしかに生き残ってる方が難しい。
「黙祷…しましょう…」
なんでこんな事になっているのだろうか…。
「今日試して分かることがありました。どうやら私達は動物等になれるそうです。今までなかった事です。まだよく分からない事ばかりですので次また試してみようと思います。さて、帰りの時間は10分と少ないので自己紹介はそれぞれ先輩が言った呟いちゃお!を、もしできない場合もあると思いますので来週の今日、します。詳しいことはグループで」
と報告会は終わった。
他に質問している人たちはいるけど彼女が、向こうに戻った時眠っているから布団で寝て体をならしていなさい。詳しいことはグループで。と有無を言わせぬ強さで言い放ったので皆すごすごと布団にはいった。
目覚ましがなる。いつも寝ても体は重たいが今日はいつもより重たい。昨日の事は夢なのだろうか、そういえば死んでしまった人が居た。向こうで死んだらどうなるのだろうか。着替える前に日頃つけていないテレビをつけた。
「ささっと簡潔に、ささっとニュースのコーナーです。今日のささっとはこちらの5つです!特に最後はささっとの後にもっと詳しくします。」
自分もささっと着替えを始めていく。
「まず1つめはあじの動物園でパンダの赤ちゃんが生まれました、いやぁ可愛いですねぇ。名前は明日、発表だそうです」
まだ知りたい内容ではなかった。
「次はえぇ、煽り運転をしていた男性が煽っている相手の家までついていき迷惑行為で逮捕されました」
そもそもあるのだろうか。
「色んな店から5900万もだまし取った詐欺グループのうち一人が自首し、そこから全員逮捕となりました」
もしかしたら夢、だといいのに。
「次は、日本でもジョージィで有名なカーアクションのジョージ・スミスさんが昨日、走ってる最中に車が分解して亡くなりました。警察は事件と事故両方で捜査しているそうです」
「…そして最後、また不思議な事件が起こりました。愛知県の、ごまんとスーパーとその付近で銃の跡がある死体が今朝発見されました。詳しいことは後ほど…」
ゾッとした。日本で今はあまり聞かない銃殺。たしかに昨日の場所は県は分からずとも日本ではあった。CMが流れる、まだ仕事の準備の時間でもあるのでもう少しギリギリまでテレビを見られる。CMの間、歯磨きの用意をする。
「愛知県にあるごまんとスーパーで三人の銃殺の跡がある死体が発見されました。一人はスーパーのなかで、後の二人はスーパーの少し先で…身元不明の少女でした。一人は鑑定で
「えぇこちらを見てもらいたいのですが、まず藤岡さんは背後から背中や足1面に銃の後がありました」
カメラが他の人が話した時に手作りであろう青色で大まかに人をかたどった紙をうつした。銃の跡として赤い丸で書かれていた。それも背中と足にびっしりある。
「そして身元不明の少女二人なのですが、こちらも後ろから撃たれていますね」
赤い色で人をかたどった大小少し差のある紙にも青い丸で背中と足にびっしりと書いてあった。
そろそろ全ての準備も終わる。行かなければならない。昨日といいずっと心臓が嫌に騒ぐ。もう何も考えたくない考えれない。
そういえば、と呟いちゃお!で何かあったのを思い出したので行く前に調べた。たしか変なところ変なところに…結構色々な形でたくさん呟いてるらしくあやふやなものでも出てきた。先にフォローして仕事終わりにDM送ろう。
どうなるのかわからない。日にちなんて経ってほしくない。言葉を失うほどに この絶望で何もなくなった気持ちの中で唯一、どうしようもない。というのだけが残った。
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