第13話 〜"学校のカイダン"編⑩〜
A中で1番平和な世界、職員室で、先生たちが会話をしている。
「そういえば、3年生はまだ席替えをしていませんでしたよね」そう話を切り出すのは、3学年主任兼3組の担任の
「そういえば、そうでしたねぇ。そろそろ席替えしちゃいますか」と1組担任の
「例年と同様に、代表生徒が決める形にしますか?」と、おしゃれな服装やメイクが目立つのは、2組担任の
「お見合いなんて、どうでしょう?ロマンチックで、この学年のスチューデンツたち、そして、僕たちティーチャーに似合うと思うのですが」と顔が整ったやつにしか許されないであろう台詞を平然と口にするのは、5組担任の井上だ。
「井上、それはもちろんお前を除いた場合の話やろ?そうなると、お見合いってのも新鮮で賛成できる意見では、あるんやないですかね」石田は井上と中学校からの同級生で、井上のナルシストを十数年も正そうとし続けているが効果は未だ見られない。
「何言ってんねん石田、この学校の顔面偏差値上げてんの誰だと思ってんねん。イッツミー!俺を除いてどうすんねん!」普段このようなことを言って場を凍らせていることなど、当の井上は気付かない。「英語担当だからといって日本語の文に英語を混ぜてくるやつは嫌い」「どこからその自信が湧いてくるのか不思議でならない」というのが生徒たちからの評価だ。
「ってことで、これから数週間はこの席で決まり!皆、仲良くするんだぞー」井上の意見を一部参考にしてお見合いで決めた席を見渡し、谷川が言った。
「はーい」生徒達の声はカラフルだ。
「今度の日曜日、一緒に映画を見に行かない?」と隣の席になった女子を映画に誘うのは、三芳だ。
「えー、二人で?」三芳の隣になったのは茜だった。
「ダメ?奢るからさ」
「うーん、考えとく」茜は全く三芳の方を見ることなく言った。
「分かった、ありがとう。それとさ、…」と三芳が一歩茜に近づき、「茜ってもしかして、多重人格者なの?」と耳打ちした。
茜はようやく三芳のことを見て、「どうしてそう思うの?」と聞く。
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