第6章 魔王討伐

第57話 魔王との会談

 オレ達は、ソフィーの件から王都に帰り、再び訓練に勤しむ。


 そして、今、あるカフェで、コヒーという大人になる為の飲み物にチャレンジしていた。


 ト「お前たち、こんなの飲んでるのか?」

 ア「うふふ、大人になるって、こういう事なの」

 エ「トーヤには、まだ早いかな?お姉さん達は、もうとっくに卒業してるんだけどね」

 ソ「うふふ、美味しいでしょ?トーヤも大人の階段、わたし達と登るんだよね?だったら、グッと飲まなきゃね」


 ト「これ、クソ苦いんだけど、死なないよな。嫌だぞ、まだ魔王倒してないのに。あっ、そうか!これ飲んで毒耐性つけてるのか?お前らにしては、考えたな」


 エ「へー、そうなんだ!わたし達、凄いじゃん」

 ソ「うふふ、トーヤらしいね。わたし、癒しの聖女だから、耐性強いし、そういう事かも」

 ア「まあ、たしかに、そうとも言えるわね。でも、毒って、たしか、それ飲んで死んだ魔族もそう言ってたって、エリー、そうじゃなかった?」

 エ「うん、そうだよ。って、ああ、トーヤと言う事、同じじゃん」

 ア「そうそう、そこまで同じに化けれるんだね。そんなに凄い魔法なんか、人間界にはないよ。ソイツ、実は、凄いヤツだったんじゃない?」

 エ「えっ?ないないない。だって、速攻であの世に逝ったからね」

 ア「それもそうか、あのガートルードって、凄い魔族は最後まで凄かったからね」


 ト「ああ、アレは強かった。でも、アレより魔王の方が強いんだろ。だから、もっと、強くならないと・・・」

 ソ「私たち、あの時の私たちより強くはなったけど、まだまだだしね。がんばろ!それで、トーヤ、コヒーは飲めた?」

 ト「・・なんだよ、いい感じに話しを逸らしたのに、これ、飲まないとダメ?」


 ソ「これは、あなたの事を思っての修行なの。がんばって」

 ア「そうね、仕方がないわね、お姉さんが付き合ってあげるから感謝しなさいよね」

 エ「そうだよ、私たちお姉さんが付き合ってあげるんだから、明日も明後日も、ここに来よう?」

 ソ「そうね、わたし、トーヤのがんばる所を応援したいし、太るけどケーキ食べに来るよ」

 ア「仕方がないわね、私も日替わりケーキが気になってたんだ」

 エ「えっ?ずる~い、日替わりがあるんだ!私もそれにしようっと!」


 こうして、毎日、コヒーを飲まされたオレは、状態異常耐性を獲得しつつあった。

 まあ、コイツ等はケーキが食いたかったんだけど、コイツ等金持ちの奢りだから、文句は言いません。

 ホントは、コヒーが癖になって来たとかも、言いません。


 それから、1か月が経過したころに、シモンから呼び出しを受けた。



 また、帝国へ行けということで、詳しくは帝国でとのことだった。

 オレは、帝国は嫌だったが、これも、魔王関係の案件らしく、なにか、慌ただしいものがあった。

 今回は、王国魔導師も一緒のようで、筆頭のザピエルも一緒だ。

 オレは、それを聞いてホッとした。


 実は、この遠征から、馬車は聖女と一緒になることを禁止された。

 だから、友達とかいないし、ただでさえ蔑まされているオレは道中が不安だったのだ。


 ヤツも筆頭なので、ヤツと同乗する者もおらず、オレとヤツはずっと、飲んではしゃべって、話しは尽きず、退屈しなかった。

 オレには、特殊能力があり、なにか難しい事とかも、おおよそ理解できるし、また、話すこともできるので、オレも聖女たちと話すより、より知的?な会話とか、この世界の裏の話しとか、魔法の深淵の話しとか、魔族に関する知られざる話しとか、聖剣のこととか、勇者の事とか、聖女の事とか、歴史上の大事件とか、はたまた、人間とは?魔族とは?その他の種族とは?から始まり、人間の人生や命とか運命とかの根源的な話とか、この世界の人間族や魔族などの種族の性や理性や常識、慣習などやおとぎ話に童話や伝承の類いなど、多岐にわたる話しをした。

 もちろん、飲みながら。


 飲み物にも一家言あるらしく、オレは最近苦いモノとか、辛口のモノとかを飲めるようになったばかりだが、ザピエルはこの世界のいろいろな種類の酒を飲んでいる。

 オレは、彼を先生と呼び、弟子になった。


 聖女たちとは、飯時に顔を見ることもあったが、徹底して、話しもさせないようだった。だから、距離的に大丈夫な場合は、念話を使用して、時々話したりするが、彼女たちはフラストレーション?が溜まってきているようだった。


 だから、昼休憩の時に、監視の目を撒いて、時々オレ等は訓練したりした。

 ザピエルも手伝ってくれた。


 そうして、オレ達は帝都へ一か月以上かけてやって来た。


 そして、ルドルフ14世と謁見する。


 ル「聖女たち、ご苦労であった。これから、いよいよ、魔王主力部隊との交戦が始まる。この前は、前哨戦だった。実に、難しい戦いとなるであろう。後の詳しいことは帝国軍騎士団長ルシフェール=フォン=デュフォー伯爵に譲るが、そなた達の活躍に我々の勝利がかかっておる。くれぐれも、頼むぞ!」


 聖女たち「・・・はい(小声)」

『な・・こ・・・な・・・』

『ば・・・な・・・・つ・・・』

 やはり、念話は交信不能か・・・、ここも結界が強力だな。


 あの暗部の様子もタダ者ではないし・・・その伯爵というのも、曲者だろうな・・・はあ~~~。


 オレは、この厄介な帝国という存在は王国より嫌だった。


 まあ、聖女たちは怒っていたが、オレのことを無視するのは、この前も同じだから、いちいちそんなことに目くじらを立てなくても良いんだけど。

 でも、彼女たちの想いに感謝した。



 そして、帝国騎士団長に会う。

「私が、デュフォー騎士団長だ。ルシーと言ってくれ」

 こいつ、ルーシーと被るな。

 そう思ったが、コイツもやはり、オレの事を無視して、聖女に話しをしている感じで、気分が悪い。

 オレは、ザピエルと目を合わせると、共に苦笑するのだった。



 それから、帝国と魔族の境界の集落へ2週間かけて移動した。

 相変わらず、聖女たちとは別行動だった。

 顔すら合わせられない徹底ぶりだ。

 これも、ザピエルと苦笑せざる終えなかった。


 そして、ふつうは有り得ないことが起こった。

 魔族側から、会談の打診があったのだ。

 出席する者は、勇者パーティーのみ。


 これには、騎士団長ルシーをはじめ、帝国の面々が議論ばかりをしてなかなか返事を出来ないでいた。


 だから、オレは言ってやった。

 ト「オレ、一人で行ってもいいよ」

 ルシー「いいのか?それは願ったり叶ったりだが」

 ソ「それはダメです!聖女たちみんなも行きます。アナタたちが止めようとも行きます!」

 聖女たちが強硬に主張したので、勇者パーティーみんなで行くことになった。


 そこは、見渡しが効く平原の中ほどの所だった。


 ここに、魔王たちと勇者たちとが一堂に会した。


 魔王側は、魔王ソーマ、幹部のアラクネ、魔王の義妹のミーシャ。

 勇者側は、勇者トーヤ、癒しの聖女ソフィー、剣の聖女エリー、魔道の聖女アヤカだった。


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