第56話 聖女は花より団子?
ザッハテルトは、今までの対勇者パーティー戦で
そのような中、ガートルードの死亡が伝えられ、今度は恐怖した。
ザ「いったい、どうすれば?あのガートルードでもダメだったとは・・・・」
「ふふふふふふ」
ザ「何者?・・アラクネか?驚かすな」
ア「ザッハテルト様、良きお知らせがございます」
ザ「なんだ?」
ア「人間族は、一枚岩ではございません。そして、勇者たちはまだ若い。とくに、聖女たちでございますが、まだ彼女たちは処女でございます。ふふふふふ。ここに、策がございます。A案:聖女たちを犯し、そのチカラを失わせる、B案:聖女たちの誰かをザッハテルト様の魔法で洗脳し勇者を殺す、C案:聖女の誰かを殺しその者に成り代わり勇者を殺す・・・さて、いかがでしょうか?」
ザ「アラクネ、おまえ、聖女を狙うのはある意味正しい。だが、今までの戦いを見ただろう?アイツ等、強いぞ。どうして犯したり、殺したり、ましてや洗脳などという高度な事が出来る?すべて、絵空事よ」
ア「ふふふふふ、すでに手は打っておりますれば、ザッハテルト様には、片手間の魔法でおよろしいかと」
ザ「話してみよ」
ア「ふふふふふ。癒しの聖女、ソフィア=ファーガソンでございます。彼女の婚約者をすでに我々の人形にしておりますれば、先日、ソフィアがかの者を訪ねた折に婚約破棄となり、今、かの娘は心が乱れており、暗示や術に掛かり易き状態かと推測されます。したがって、A案:トーヤに化身してかの娘を犯す、B案:かの娘を洗脳し勇者を殺す、C案:かの娘を殺し、かの娘に化身して勇者を殺す・・・いかがでございましょう?」
ザ「お前なら、どれを採用するのだ?」
ア「ふふふふふふ、まずは、トーヤに化身して、彼女に近づき、彼女の状態を観察しつつ、B、C案と比較検討し、結論を出すのが賢明であると考えます。いかがでございましょう?」
ザ「むむむむ・・・まあ、やってみようか?たしかに、正面切っての魔法では、アヤツ等には勝てぬ。アラクネ、お前の情報を逐一伝えよ。魔王様には、お前から報告しろ!では、準備に掛かれ!」
ア「わかりました。くれぐれも、抜かりなく、気取られること無きように!」
ザ「誰に向かって、モノを言っておる?お前こそ、情報をしっかりと伝えよ!」
(くふふふふふふ、ザッハのバカは、何も知らぬ、A案とか、ムリだということを。
そんな事が出来れば、私がしているわよ。だいいち、あのみっつの案、いずれも発想が似ており、そもそも別案にすること自体が間違っている事に気がつかないなんて。くふふふふふふ。でも、私はボロを出す提案はしていないわ。ふつう、B案というのはA案の前提が崩れたときに採用するものをいう訳だけど、あんなB、C案なんて・・・これらの内から選択するように思考を誘導したのがわからぬとは・・・・くふふふふふ。これで、3鬼将ではなく、わたしが魔族の大将軍、魔王様が唯一信頼し、愛してくださる魔族イチの武将となったわ!ぐふふふふふふ、ああ~~~、わたし、もう、わたしだけしか~~、まおうさま~~~、ああああんんんんん!!)
実は、ザッハテルトもバカではない。
アラクネの案をそのまま使うつもりはなかった。
ザッハは、癒しの聖女の強さを実感を持って知っている。
したがって、癒しの聖女を本命にしたわけではなかった。
聖女たちは晩餐会に招待されていた。
エリー「晩餐会に出るお料理って、フルコースの順番、何とかならないかな?」
アヤカ「バカね、あんた。決まり事だから、仕方がないでしょ」
エ「だって、メインにいくまでに、お腹が膨れちゃうから、いつも不完全燃焼なのよね」
ソフィー「うふふふ、そこは、最初に出てくるものを全部食べちゃうからよ。もっと、考えて食べたら?」
エ「だって、最初はお腹が空いてるんだもん」
ア「ホントに、あんたは子どもね。そこは、我慢するのよ。レディーでしょ!」
ソ「レディーが、口の端にソースを付けたままにしないの。ほら」
ア「ありがと」
晩餐会の食事の後、軽くティータイムがあり、いろいろと、貴族達は、聖女達のプライベートや今後の予定、討伐後のことなどを訊き、必ず勇者には注意しろと言うのだった。
聖女達はもう聞き慣れたので、勇者の悪口を言われても受け流していたのだが、これからはこのような貴族との付き合いは少なくしようと、みんな思うのだった。
そして、3人連れ立って自分たちの部屋の前に行ったら、トーヤが居た。
ト「遅かったじゃないか?君たちにこれを渡そうと待っていたんだ」
そう言うと、それぞれに手紙を渡した。
ト「じゃあ、また明日」
そう言ったトーヤは、暗がりだったためかよくわからないが、何かいつもと違った雰囲気があった。
ソ「トーヤ、何これ?貴方がこんな事するなんて、初めてね」
ト「君たちへの感謝の気持ちを書いたんだ。読んでくれたらうれしいよ。じゃあね」
聖女たちは、それぞれ顔を赤らめ、手紙を受け取ると、自室に入っていった。
ソ「えへへへへ。まあ、わたしも田舎者だもん。トーヤとは、その点、同じかもね。でも、こんなにストレートに書くのね、トーヤって。なんか、可愛い」
エ「ふふふふふ、お姉さん、感動しちゃったな。明日、絶対イチャイチャしよう!なんでもっと早く言ってくれないかな?いつでも心の準備はできてるんだけど・・・ああ・・・トーヤ・・・今晩、眠れないよ・・・」
ア「うふふふふふふ、トーヤ、お姉さんが教えてあげるかな。大人の蜜の味を。でも、わたし、処女だし、大丈夫かな?勝負パンツ、帝国でデザインしたのがあったっけ?うふふふふふ、どんな格好がトーヤの好みかな?今晩、眠れないかも、うふふふふふふ」
これらの独り言は、逐一、アラクネからザッハへ報告された。
ザッハ「うむむむむ。こいつ等は、たしか、処女だったな。まあ、3人のうち、誰かを選ぶとすれば・・・エリーナ=ルーチェか?一番バカそうだし、すぐに身体をモノにできそうだな・・ぐふふふふふふ・・・いける、いけるぞ・・ぐふふふふ」
そして、翌日の朝、朝食時。
ソ「みんな、今日は、ちょっとわたし、用があって、その、自主練習するよ、ごめんね」
ア「えっ?私もなんだけど、ちょっと、試したい魔法があって、森の方に行って、練習しようかなって・・・」
エ「へーー、みんなもいろいろと考えてるんだ。実は、私もなんだ、今日は各自、自主練ってことにしよう!」
ソ・ア「オーケー!」
そして、それぞれ、手紙に書いてあったトーヤとの落合場所へ行くのだった。
~~~~エリー視点
エリーは、王都の、とある宿屋のロビーにいた。
トーヤって、ヘタレだと思ってたけど、意外と大胆なのね。
ひょっとして、そっち方面でも勇者だから成長したってことなのかな?
彼は、もちろん、童貞よね。
お姉さんの私がリードしてあげなくちゃ。
ト「あっ、エリー、待った?」
エ「トーヤ?なんか、雰囲気変わった?」
ト「えっ?ああ、昨晩、寝れなくて・・」
エ「うふふふ、私もよ」
ト「そ、そうか・・・」
エ「トーヤって、アレでしょ?まだよね?」
ト「えっ?まだって?」
エ「女の子から言わせるつもり?」
ト「えっ?・・ああ、まだかもね」
エ「うふふふふ、そうよね、でもなんで、かもねなんて言うかな?そんな事、気にしなくていいよ」
ト「えっ?・・そうかな?」
エ「そうよ!でも、朝からなんてアレだし、ちょっと、あそこでお茶飲まない?」
ト「えっ?・・まあ、そうだな」
そして、ちょっと心を落ち着かせようと、カフェに入った。
そこのカフェは、苦さと酸味のキツイ、コヒーというものがウリでフランツ王国の貴族の女子たちには人気だった。
こういう情報は、王国のお茶会とかで仕入れたりするんだ。
もちろん、わたしは、それを注文した。
だって、流行を追うのって、女の子の本能的なものでしょ。
「コヒー、ふたつですね、お待たせいたしました。当店自慢の美味しさをご堪能くださいませ」
エ「(にっが!なにこれ!でも、ここはお姉さんの私が貫録を見せないとね!)お、おいしいわね、トーヤもどうぞ、熱いうちに飲まないと美味しさがわからないよ」
ト「そ、そうなんだ・・・・ううっ、ぶーーーー!!」
エ「きったなーーーーい、バカなの!・・えっ?」
目の前にいるトーヤだった者が角の生えた化け物になっていた。
ザッハ「・・おのれ・・毒を盛ったな!・・なぜわかった?」
わたしは、この魔族の言葉に答えず、すぐに、聖剣を呼ぶ。
エ『これ、魔族よね?』
『ふふ、すぐに殺しましょう』
エ『じゃあ、お願いね』
私は、もうすでにトーヤのように聖剣ソーラーレイティアに攻撃を委ねることができるようになっていた。
即座にレイティーから、ビームが
トーヤに化けた魔族は、あっけなく死んだ。
お店の者に、自分は聖女であることを告げ、王都の警備を担当する者たちに連絡を取ってもらった。
そして、私は、お店の人がサービスしてくれたコヒーとケーキを食べる。
あれ?このコヒー、くっそ苦かったけど、ケーキと合う!
わたしは、お店で寛いでから、自主練に向かった。
あっ?あのトーヤに化けてたヤツからの手紙?
あんなこと、トーヤが書く訳ないじゃん・・・と、ちょっと寂しく思ったのは内緒。
そして、お昼になったので、王宮に帰ったら、ちょっと落ち込んだ風のソフィーとアヤカも帰っていたので、一緒にお昼を食べながら、起こった出来事を話す。
ソ「そ、そうなんだ・・・あのお手紙、怪しいと思ってたんだ。トーヤがふつう、そんな事するはずないし・・・・」
ア「わ、わたしも、あの手紙、絶対ウソだって思ったわよ。読んでたら、トーヤくんが書きそうにない事ばかりだったし、なんか、イタズラだと思ったわ!ええ・・・・」
二人は、すでにイタズラだってわかってたようだった。
顔を赤くして、否定してたもん。
わたし、もっと、賢くならないと・・・。
エ「わたしだけ、信用しちゃったのかーー、でもね、わたし、後でね、コヒーを飲みながら、ちょっとだけこんな事をトーヤが言ってくれたらいいなあって思ったんだ」
ソ「それは・・・そうよね」
ア「まあ、そうね・・・」
何が書かれてたかは、みんな、言ってくれなかったけど、私も言うつもりはないけど、ちょっと、乙女な気持ちになる私たちだった。
ア「それはそうと、そのコヒー、今から飲みに行こうよ!」
ソ「そうよ、話を聞いてて、それが一番気になってたんだ!」
まだまだ、恋より、食べ物とか飲み物に興味がある、私たちだった。
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