第29話 聖女の処女性と勇者の責任①

 聖女たちは、皆、処女だった、自己申告だけど、そうだけど、嘘でないみたい。


 オレは、今まで勘違いを・・・ということは・・・・・。


 ト「お前ら、ピエールに謁見して一週間くらいでホテルに行ったよな?」

 ソ「うん、行ったけど、サーヤに聞いたの?」


 ト「うん・・まあ、でも、何してたのか詳しく聞けなかったんだよね。で、ナニしてたの?」

 ア「それは、ちょっとやらしいな~~、トーヤくんw」

 ト「えっ?」

 やはり、思った通りか?


 エ「あそこは、凄かったよ!もう、天国って感じ?」

 えっ?やっぱり、こいつ等、ヤルことやったのかい!


 ソ「そうね、あんなこと、初めての経験だったわ」

 あんなこと・・・初めての経験・・・ごくり。


 ア「わたし、また行きたいわ」

 エ「もう、行けないのかな?」

 ソ「ピエール様かマリー様におねだりしたら、どうかな?」


 ト「そんなに天国な経験なのか?」

 ソ「うん」

 ア「そう」

 エ「やっ!」


 エリー、お前、言葉遊びしてるかもだけど、やっ!って、嫌なのか?


 ト「オレも一緒に行くのは、ど、どうかな?」

 ソ「い」

 ア「い」

 エ「え」


 ソ「エリー、意地悪言わない!」

 エ「ごめん、ちょっと、ふつうに、いいよとか、いいわとかじゃ、つまらないなと思って」

 ア「ふふふふふ、それもそうよね」


 ト「あの、ちょっといいか、話しが進んでないのだが。「うんそうや」から、おかしくなってるから。で、オレ、行っていいの?」

 ソ「いいよ、みんなでおいしいお料理食べましょ!」


 ト「えっ?料理食べるの?」

 ソ「もちろんよ、でも、他にもお化粧とかしてもらえるかも」

 ア「ソフィーなんて、お姫様だねなんて言われてたね、田舎者のお姫様だけどね」

 ソ「田舎者、言うな!」


 エ「それ言うなら、サーヤの変身ぶりをトーヤに見せたかったね」

 ソ「そうそう!もう、女の私でも、惚れちゃってキスしたくなったよ」

 ア「へー、ソフィー、キスするチャンスを逃してるんだ」

 ソ「えーと、私、初めては婚約者のロールに決めてるから」


 ト「おい、ちょっと待てよ。ということは、ホテルでは、えっと、男とは何もなかったの?」

 ア「誰?男って?」

 ソ「ひょっとして、先生たちのこと?」

 ト「・・先生なのか?どういうこと?」

 ソ「私たちにマナーを教える先生で、マリー様が私たちそれぞれに個人教師をつけてくれたのよ」


 ト「マナーって、キスも入るのか?」

 ソ「それはないわ、あっ、でもちょっとだけあったかも」

 ア「挨拶程度のものね」

 ソ「やったの?」

 ア「軽く?」

 ト「軽くって?」

 ア「こうよ!」

 アヤカは、オレにキスをした。

 キスといっても、ほっぺに触れたか触れない程度の何とも言えないものだった。

 その微妙なキスが貴族の嗜みらしい。


 ソ「やらしい」

 エ「わたしもやる!」

 エリーがオレのほっぺに、またチューをした。軽く触れたのではなく、ぶちゅっとした。

 おまえ、2度目だろ?

 ってか、ほっぺにしてなかったぞ、サーヤもとい剣聖は!?


 ト「おいおい、キスって、こんな頬っぺたにするだけ?マウストゥマウス?ってやつ、お互いの唇を重ねたり、その大人キスしたりってのは、マナーで習わなかったのか?」

 ア「それは、逆にマナー違反だよ、ねっ?」

 ソ「そ、そうだよ、あのう、トーヤ、その大人キスとか、マウストゥマウスって何?」

 エ「そうそう、なになに?」

 アヤカ以外は、キスも初心者というか、ほぼ経験ないのが判明した。

 いつもお姉さんぶってるエリーなんか、ただ、ぶってるだけだった・・・ホントに稽古中だけじゃなく、ってくるからな・・手刀とか、時々拳固で。


 オレがアヤカをじっと見たら、ソフィーとエリーもアヤカをジト見した。


 ア「何をみんな、ジロジロ見てるのよ・・・そりゃー、私はキスぐらい、彼としまくりよ、悪い?トーヤも、そうだったよね!」

 ソ「そうだったよね!トーヤはサーヤと・・・・」

 今度は、オレをそんな目で見るな、ソフィーとエリー!ってか、アヤカ、おまえ、自分に掛かる火の粉を隣りに移すの上手いな!


 エ「トーヤは経験者・・・また、今度、私に教えてくれるかな?」

 ソ「なに、それ?みんな、キ、キスなんかでどうかしてるよ!不潔だよ!」


 ト「ソフィー、君はなにかキスにトラウマ?があるのか?」

 ソ「トラウマ?」

 エ「そのウマっておいしいの? 」

 ア「馬じゃなくて虎じゃない?」


 コイツらは、バカだったのを忘れてた。


 ト「いや、なんか、ソフィーに昔何か嫌なことがあったのかなと思って」

 ソ「・・・・・」

 ト「いいよ、悪かった、突っ込んだ事訊いたみたいで」

 ソ「いいのよ、ちょっと恥ずかしいことなんで話せる時期が来たら話すよ」


 ト「ところでさあ、そのう、サーヤは、その先生とキスとかしてたかな?」

 ソ「・・・わたしは、知らないわ」

 ア「私も、知らないかな」

 エ「うん、してたかな」


 ト「えっ!エリー、そこのところ詳しく教えて」

 エ「いいけど・・・その、付き合ってくれない?」

 ト「えっ?」

 オレは、付き合う=恋人関係=エッチをしたい、という等式を頭に描いた。

 だって、男の子だもん!


 ソ「じゃあ、今度、私も付き合ってもらうからね!」

 ア「そ、そうよ、私も今度付き合ってあげるわよ!」


 なんか、一名だけ上からだけど、何でこんなことになった?



 オレ達(エリーとオレ)は、あるところに出かけた。

 といっても、城内の聖騎士の訓練所なんだが、後ろの方から隠れてついてきている聖女たちには気が付いていないフリをしながら、そこへとやって来た。


 エリーは、ちょっとここからは、気配を消して、出来れば姿も消して、あそこの影に隠れてと言って、自分は、瞬歩を発動させて移動した。


 ほう、流石は剣の聖女、いつの間に出来るようになったんだと思ったが、オレも、アノンを呼び、思念を送ってそこへ瞬時に移動した。


 エ「もうそろそろなんだけど・・・来た!」

 訓練が終わったのか、聖騎士たちがぞろぞろとやって来た。

 エ「ほら、あそこの金髪のイケメン・・チチのデカい女2人を両手で抱えている奴、あれが私の婚約者。やはり、アイツ、私が居ないと思って調子に乗ってる」

 ト「・・・・」

 エ「私、ちょっと行ってくるから、待ってて」


 エリーは、またも一瞬にしてイケメンの前へ。

 イケメンは驚いているようだったが、エリーと笑顔で話している。

 エリーも笑顔だ。

 そして、また、一瞬にして戻ってきた。


 それからすぐに、オレ達は、オレの寝てた部屋に帰って来た。

 エリーは泣いていた。


 ト「エリー、どうした?さっきまで笑ってたのに?」

 エ「婚約者のイカロス、私がいないのをいいことにやっぱり浮気をしてた」

 ト「仲良く話してただけかもしれないぞ」

 エ「だって証拠がある。あの女達、薬指に私がもらったのと同じ指輪をしていたんだもん。しかもあの2人の女からイカロスの匂いがしてた」

イカ・・ロスの匂い・・・なんか、嫌な臭いっぽいな・・・・。


 ト「お前、匂いなんかわかるのか?」

 エ「アイツ、体臭がきついから、香水の匂いで誤魔化してるんだ。私は、その匂いも彼の体臭も嫌いで、抱き合うとかキスとかダメだったんだけど、女子の中にはそういうのが好きな子もいるから、特にあのチチのでかい2人は」


 そういうと、やっぱり泣き出した。

 そこへソフィーたちが帰ってきた。


 ソ「あっ!」

 ア「えっ?」

 ソ「女の子を泣かせるなんて、トーヤ、エリーに何をしたのよ!」

 ア「やっぱり、いやらしいことをしたんでしょ!」


 ト「そんな事、してないよ!なんか、帰ってきたら急に泣き出したんだよ!」

 エ「トーヤ、責任取ってよね!」

 ト「えっ?」

 ア・ソ「取りなさいよ!」

 二人は、オレを睨みつけてきた。

 なんで、オレ・・・何もやってないし・・・そんな目で見るなよな・・・パ、パーティー仲間だろ、君たち・・・・。


 ト「取らせていただきます!」

 ・・・・いただいちゃったよ!!



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