第2話:消しゴム

よし、見直しも完璧だな。


今日は2学期の中間テスト。

自分で言うのもなんだけど、1教科目の数学は僕の得意分野という事もあり100点の自信がある。



裏表にある問題に一通り目を通した僕は鉛筆を机に置き、窓の外を見る。




すると、何やら横の席でソワソワしてるクラスメイトのゆかりさんの姿が視界に入ってきた。

普段は大人しいけど、誰にでも優しく接してくれて男子からも女子からも人気の存在だ。



そんなゆかりさんが珍しく顔を真っ青にして、さっきからずっと筆箱の中をガサガサしている。



どうやら消しゴムを忘れたようだ。

僕は即座に自分の消しゴムを手に取る。



幸い僕らの席は一番後ろの窓側。

僕は監視の先生にバレないようにそっと差し出す。

すると、それに気づいたゆかりさんが遠慮気味に人差し指と親指でつまむように消しゴムを取った。




ちなみに僕は予備の消しゴムなんて持ってない。

でも彼女の事だから次のテストまでに友達から消しゴムを借りるはず。


そう、僕は思っていた。




             第2話「返してくれない」

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のんびりラブコメディー いっくん @ikkun4869

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