第32話まあばあちゃんのお下げ髪
今日のまあばあちゃんは、ジロと一緒に散歩から帰って来ると、縁側に昔の写真を出してきて、整理し始めました。
ガラス越しに当たる陽の光はとても暖かくて、うつらうつらしてくる陽気です。ジロもまあばあちゃんの側で、クウクウと寝息を立てています。
「おばあちゃん、なにしてるの?」
「あら、トモちゃん、若いころの写真を整理してるのよ」
「この人、おばあちゃん? すごくキレイ!」
トモちゃんが覗き込むようにまあばあちゃんの写真を見ていました。
「お母さん。見てみて、おばあちゃんの写真よ。すごくキレイよ!」
お母さんも、トモちゃんの声に台所仕事の手を止めて走って来ました。
「ほらこれ、おばあちゃんよ」
「本当にきれいね。なんかこう、清純で初々しさがあって」
セペア色に染まった写真の中のまあばあちゃんは着物姿でした。
髪は綺麗な三つ編みにして、小さな巾着の袋を持っていました。そして、写真の中から恥ずかしそうに笑って、こっちを向いていました。
「これ、おばあちゃんが初めて縫った着物を着たときに撮ってもらったのよ。17歳の時だったかしら」
「ねえ、おばあちゃん、誰に撮ってもらったの?」
まあばあちゃんは答えず、ニコニコ笑いながらほんのりほほを染めて、写真に写る遠い日の自分を見つめていました。
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