第29話●まあばあちゃんと警察官のお兄さん
まあばあちゃんは、トモちゃんを見送った後、ジロと一緒にいつものお散歩に出かけました。シルバーカーを押して、ゆっくりゆっくり歩いていると、向こうからパトカーが来て、ちょうど目の前の信号で止まりました。
まあばあちゃんは今朝のポストの白い紙に書かれていた事を思い出して、パトカーに向かってペコペコと頭を下げました。
パトカーのおまわりさんはまあばあちゃんの様子に気付いて、窓を開けると声をかけてきました。
「おはようございます。いつもお元気ですね」
30歳ぐらいの若くて爽やかなおまわりさんです。まあばあちゃんは白い紙のお礼を言わなければとまごまごしていました。
「賢そうなわんちゃんですね。名前はなんていうのかな」
若いおまわりさんが尋ねました。
「ジロです」
まあばあちゃんがにこにこ笑って答えました。ジロの事を褒められるととっても嬉しくなります。まあばあちゃんは思い切ってたずねました。
「このはがき、私の家のポストに入れて下さったのは、おまわりさんたちですか」
若いおまわりさんは、まあばあちゃんがシルバーカーから大切そうに出してきた白い紙を見たとたんに言いました。
「これ、私たちです。昨夜この辺りをパトロールしたので」
「やっぱり、そうでしたか。お礼が言いたくて、本当に有難うございます」
まあばあちゃんは、パトカーの若い二人のおまわりさんに、丁寧に何度も頭を下げました。
「そんなにお礼を言われては困ります。これが私たちの仕事ですから。よくジロちゃんとお散歩されている姿をみかけます。気をつけて行って下さいね。ジロ、しっかりおばあちゃんを守るんだよ」
おまわりさんが優しくジロに声をかけました。嬉しそうにしっぽを振るジロ。
「それでは失礼します、じゃあ」
そう言って、おまわりさんは立ち去って行きました。
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