第24話まあばあちゃん、大泉緑地へ行く

日曜日の朝です。まあばあちゃんがお散歩の用意をしていると、トモちゃんが車椅子を出してきました。


「どうしたの、これ」


まあばあちゃんは不思議そうな顔をしてトモちゃんに尋ねました。


「インターネットでお母さんと一緒に注文したのよ。おばあちゃんを驚かそうと思って」


この前、行ったフリーマーケットでトモちゃんは、疲れてしんどそうにしているまあばあちゃんをシルバーカーに乗せて帰ってきました。


小さな体のまあばあちゃんでもシルバーカーに座っている姿はとても窮屈そうでした。


そこで、トモちゃんはお母さんと相談して車椅子を買う事にしたのです。車椅子に座ったまあばあちゃんはとても嬉しそうです。


「まあ! かわいい座布団!」


真新しい車椅子にはジロに似た犬の赤い座布団が置かれていました。


「気に入った? 良かった! 座って座って! おばあちゃん、どう? 座り心地」


トモちゃんが聞きました。


「とってもいいわ。本当に……ありがとう」


まあばあちゃんは、生まれて始めて乗る車椅子が嬉しくてたまらないようです。


「でしょう! ねぇ、おばあちゃん、今からジロと一緒に大泉緑地へ行かない? 」


「大泉緑地に?」


トモちゃんの言葉に、まあばあちゃんは目をまあるくして聞き返しました。


「そう、桜がとっても綺麗なんだって、友達に聞いたの! 行こうよ。おばあちゃん」


大泉緑地というのは、まあばあちゃんの家からゆっくり歩いて30分位のところにあるとても大きな公園です。


トモちゃんは、桜の花が大好きなまあばあちゃんと一緒に大泉緑地に行きたいと思ったのです。トモちゃんはまあばあちゃんを乗せた車椅子をゆっくり動かしました。


「あら、おばあちゃん。ジロも一生懸命引っ張ってる」


さぁ、今日は二人と一匹。大泉緑地でお花見です。

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