第23話まあばあちゃんと巾着袋
雨上がりの朝、まあばあちゃんとジロがいつものように散歩していたら道の片隅に紺色の巾着袋が落ちていました。
まあばあちゃんはその巾着袋がとても気になりました。でも、拾うのが恥ずかしい気がして、通り過ぎようとしました。
(でも……もし困っている人がいたら……)
やはり気になって手に取りました。昨夜の雨で巾着袋はずぶ濡れでした。中を開けるとビニール袋に包んだ薬袋が入っていました。
病院の名前も書いていました。交番までは1キロもあります。まあばあちゃんは迷いました。
「足の悪いわたしに、そこまで行けるかしら」
まあばあちゃんは毎日散歩していますが、町内をくるくる歩いているだけで、あまり遠くへ行ったことがありません。
若いときは毎日駅まで歩いて働きに行っていました。だけど今はシルバーカーを押してお家の近くをくるくるする程度です。
(やっぱり行こう!)
まあばあちゃんは決心しました。
歩道の段差を越え、アスファルトの穴ぼこに苦労しながら、やっと交番に着きました。
「おばあちゃんご苦労さまです。必ずこの人に届けますからね」
優しいおまわりさんが、まあばあちゃんをねぎらってくれました。久しぶりに善い事が出来て、まあばあちゃんの心は晴れ晴れしていました。
「ジロ、帰ろっか!」
まあばあちゃん、またシルバーカーを押してジロと一緒に帰りました。
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