第20話まあばあちゃんの涙
昨日、お春ちゃんと一緒にお散歩に行くと約束したのに、今朝のまあばあちゃんは寝過ごしてしまいました。昨夜、大好きな舘ひろしのドラマがあったからです。
ジロがベットの回りをクルクルします。まあばあちゃん、早く、早く」と言うように……
「はいはい、分かりました。ジロ。ごめんね、お寝坊しちゃって」
まあばあちゃんは急いで服を着ようとしますが、若いときの様になかなかうまくいきません。
「はい、お待ちどうさま」
まあばあちゃんは、ジロに言葉をかけながら、昨日約束したお春ちゃんの事がとても気になっていました。
「ごめんね、お春ちゃん。先に一人でお散歩行ったかもしれないわねぇ」
ジロも心配そうにまあばあちゃんを見上げます。やっぱり、お春ちゃんは家の前にいませんでした。まあばあちゃんはしょんぼりして、申し訳なさそうに家の前をゆっくりと通り過ぎました。すると、玄関の戸が開いてお春ちゃんの娘さんが出てきました。
「あ! あの、すみません。ごめんなさい。昨夜、母は救急車で病院に運ばれたんです。本当に申し訳ありません……」
お春ちゃんの娘さんはそこまで言うと忙しそうに家の中に入って行きました。まあばあちゃんは心配でしたが、詳しい事も聞けませんでした。まあばあちゃんは、いたたまれず、心の中で手を合わせてお春ちゃんの回復を祈りました。
まあばあちゃんの小さな目から溢れた涙が、ジロの頭の上に一粒、二粒とこぼれ落ちました。
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