第10話 あなたとの時間

「成美っ!大丈夫かっ!?」

「…勇…史…?」

「お前…大丈夫だったかっ!?こっちが焦ったしっ!」

「ごめん…うん…大丈夫…。ちょっと考え事していたから…」



私は笑顔を見せる。



「私もかなり焦ったけど……一瞬、終わったと思った……」


「立てるか?」

「うん…大丈夫」



ズキッ

足を怪我したようだ。



「…っ…」



私は自転車を起こす。



「帰れそうか?なんなら後ろ乗ってく?」


「えっ?……大丈夫だよ…」


私は微かに微笑む。



「じゃあ、一緒にゆっくり帰ろうぜ。足、怪我してるみたいだし」

「気付いてたんだ…。でも勇史、彼女いるでしょう?」

「そういうお前も彼氏いるじゃん!」

「だったら一緒に帰れないじゃん!」



「俺は…別れたし」

「えっ?」

「ついさっき」

「えっ!?」

「元彼により戻そうって言われて関係持ったとか有り得なくね?」


「そうなんだ……」

「俺、ありのままの自分出してなかったから…お前といる自分は封印してたからさ」

「えっ?」

「やっぱ、素の自分出せねーのって結構きついよなぁ~」


「勇史…ありのままの自分出してなかったんだ…えっ?それって……バレた時、嫌われるパターンだよね?」


「かもな?お前は?」

「えっ?」

「ありのままの自分出せてんの?」

「…どうかな?出してるつもりだけど…」


「…何かあった?」

「えっ!?」

「いつものお前じゃなくね?」

「…大丈夫…だよ」

「お前、いつもそうだよなぁ~?」


「えっ?」


「大丈夫。何でもない。平気。本当の自分の思い隠して平気なふりして…」


「………………」


「俺達の前では素直になれば?嫌なら、俺だけでも良いじゃん」


「勇史……」


「自分をもっと曝け出せよ。俺的には、そういう相手いても良いと思うけど」




頭をポンとする勇史。



ドキン


「お前、笑ってる方が良いし。最近、俺達みんな、バラバラだからな」



「………………」



「勇史…」


「二人が付き合い出して、俺達は付き合ってなくて、お互い違う相手いるからな。まあ、俺は別れたけど……」


「……私も……別れるかも……」


「えっ?」


「彼氏……同じ学校の女子生徒と思われる人とキスしてたから……違うって彼氏は否定していたけど……彼女の一方的な想いなんだろうとは思ったけど……何か……信じたいけど信じられ……な…ぃ……」




キスされた。




ドキン



「…えっ?…ゆ、勇史ぃぃっ!い、今、キスしたぁぁっ!?」


「した」


「いや、したじゃなくて…」

「悪気はない」

「いやいや、悪気とかそういう事じゃなくて」「じゃあどういう事だよ」

「えっ?どういう事って……」


「お前の反応見たくて意地悪した」

「な、何それ!」



私達は騒ぐ中、勇史はクスクス笑う。



「もうっ!」

「おもしれー。お前といると嫌な事忘れられる」

「あのねー」




そんな私も


勇史との時間は


嫌いじゃない



ねえ勇史


私達


いつか付き合う事出来るのかな?




きっと


付き合えたら


私達の関係は


変わらないよね






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