第6話 告白、イメージ
それから早1ヶ月、犯人は捕まった事があり、私達は、各々、自転車で通う事になった。
それから、数日後。
「あの、今日の放課後、屋上に来て下さい」
私に、そう言い残すと男子生徒は去って行く。
「もしや愛の告白?」
ビクッ
背後から声がし驚く私。
振り返る視線の先には敏基の姿。
「見てる人は見てるんだな?アイツも良く呼び出されて告白された。とか、成美との関係を聞かれる事、多々あってたんだって」
「そうなんだ!友達なのにね」
「当人や俺と亜衣は知ってるから良いけど、二人乗りの姿は結構お似合いだったけど」
「えっ!?」
その日の放課後。
「ごめん」
「ううん」
「あの…俺、河暮 政哉(こぐれ まさや)って言うんだけど…俺と付き合ってくれない?」
ドキッ
≪久しぶりに告白された…≫
「えっ?」
「初めて見た時、可愛いなぁ~と思ってたんだ」
「…ありがとう…でも…私よりも他に良い人いるから…嫌気さしてくると思う」
「それは…ごめんなさいって事?」
「えっ?あっ…ごめんなさいって言うか…付き合っていく自信がなくて……。過去に…ちょっと…。あー…でも、断っているのと変わらないか……」
「ゆっくりで良いんだ。恋人からじゃないし付き合おうよ。ゆっくりさ」
「…………」
私は付き合ってみる事にした。
それから、1ヶ月位して、正式に付き合う事になり、ある日のデート帰り。
「ねえ、家に寄って行かない?」
「えっ?」
「いや、何するって訳じゃないよ。俺が…もう少し成美といたいなぁ~と思って」
私は迷った。
嬉しい半面、引っ掛かっていた。
「行こう!いや、来ての方が良い正しいかな?」
私を連れて行く。
しばらくして ―――
「ごめん……やっぱり……帰る。遅くなると……」
色々と話をしながら向かうものの、帰る事にした私だったけど……
「ごめん。もう家の前だから」
「えっ?」
「さあ、上がって」
私を家の中に入れて行く。
≪……どうしよう…?≫
考えている間に私を部屋に案内した。
緊張し、落ち着かないまま私を座らせる。
私の肩を抱き寄せ、彼は色々と話をしてくれる。
ふと時計を見ると夜7時を廻っていた。
「嘘!?ヤバいっ!ごめんさないっ!帰らないと」
グイッと腕を掴まれ引き止められた。
「送るからさ、もう少しいなよ」
「いや…親にも連絡してないから心配…」
ドサッと押し倒され押えつけられ股がった。
「えっ? や、やだ…ちょっと…何?離してっ!」
暴れる私。
「成美って、お嬢様学校に通ってたし、やることやってたんでしょう?」
「えっ!?ち、違っ…私は…」
「違うの?」
「私は違うっ!一部の人だけだよ!ていうか何もしないんじゃなかったの!?離してっ!」
「別に抵抗しなくても良いじゃん!俺達、付き合ってんだし、好き合ってんなら普通に考えたら関係持ってもおかしくないし。一気にチャッチャッと進めちゃおうぜ」
洋服を脱がし始めた。
「い、いやぁっ!辞めてっ!」
「いつかは越えなきゃ壁なんだし、初めてなら優しくしてやるよ。成美」
「…お願い…辞めて…!」
「ふざけんなよ!付き合ってんだぜ?」
「そうだとしても…私は…第一…そんなつもりで来たんじゃないよ…話が違うじゃん…!女子学に…通っていたからって……そんな目で見てたなんて……」
「面倒くせぇ……」
私から離れた。
「帰れよ!せっかくの雰囲気一気に冷めた」
「言われなくても……帰るよ…私に関係なく、うちの元女子学を、そういう目で見んの辞めなよ……良い子だっているんだから……」
私は帰る事にした。
「……最悪だよ……世間体では、そういうイメージしかない人いたりするから……」
トボトボと慣れない道を帰っていると……
「あれ?成美?何してんだ?こんな所で」
「………………」
「成美ちゃーん」
「……最悪……何で人に会うんだろう?しかも……勇史に会うなんて更についてない……神様も意地悪だよ……」
「意地悪つーか、偶然の再会を神様が望んでたんじゃねーの?」
「あり得ないっ!」
「なあなあ、お前、河暮と付き合ってんだろう?送って来んなかったの? カ・レ・シ!」
「………………」
「それとも喧嘩しちゃったとか?まあ、お前の性格じゃ、すぐ愛想尽かされちゃったんだろうなぁ~?可哀相~」
「………………」
「もうっ!うるさいっ!一人にしてよっ!ただでさえブルーなのに……。そんな時にかえって会いたくない奴に会って……」
私は泣きたい気持ちを抑え我慢した。
「成美、乗りな」
「良いっ!乗らないっ!歩いて帰るからっ!一人になりたいのっ!」
「うん、それは分かるけどさ……お前……逆方向に帰ってるから帰りつかないと思うけど」
「………………」
≪逆方向……?≫
≪嘘…通りで…≫
「途中まで送るから、そこから一人で帰れば良いじゃん。ほら、乗りな。お前の特等席」
私は渋々乗る事にした。
「行くぞ」
「…うん…」
「しっかり掴まってな」
「…うん…」
「成美、一人になりたいの分かっけど何かあったらいけないから」
「…うん…」
少しして ―――
「勇史……」
「何?」
「……ずっと……こうしてたい……」
「チャリンコ乗って何処まで行く気だ?確かに道は続いてっけど、ずっとは乗れねーぞ。男とはいえ体力も道も限界あるっつーの!」
「……そうだね……」
私はぎゅうっと更に抱きしめた。
「ごめん…途中で良いよ…歩いて帰るから…」
しばらくして ―――
「着いたぞ」
「ありがとう……えっ?…ここは?」
「俺ん家」
「えっ?」
「一人になりたくなかったんだろう?」
「…………」
「あがりな」
「…でも…」
「何かあったらさ傍にいてくれる人いるなんて幸せじゃねーか?アイツも良く側にいてくれんの。黙って何も言わずに男同士つーのも悪くないし、男女でも悪くないじゃん?違うか?」
「勇史……」
頭をポンポンとする勇史。
ドキン
「来な」
私の手を掴むと家の中に入れる。
「母さん、友達連れて来たから、何か適当に、夕飯追加して」
「お友達?」
顔を出す勇史の母親。
「あら?可愛い女の子♪友達とか言って彼女でしょう?」
「だから友達だって!」
「今晩は。突然にお邪魔してすみません……」
「良いのよ。滅多に女の子連れて来ないから」
「そうなんですね」
「あー、もうっ!母さん、良いから」
「はいはい」
「悪い」
「ううん。モテモテの勇史なのにね。今年こそは彼女でもつくって紹介したら?」
「出来たらな。部屋行こうぜ」
「あ、うん。……お邪魔します。勇史はモテモテだし告白されてるから、高校卒業するまでには彼女出来るよ」
「彼女ねぇ……」
「好きな人いないの?」
「好きな人?あー…いないかな?」
「そっか…」
「あっ!適当に座って」
「うん…」
「つーか、一体何があったんだ?河暮と。あっ!話したくないなら無理には話さなくて良いから」
「…イメージかな…?」
「イメージ?」
「遊んでるっぽい噂が彼には入ってて…」
「お前が?」
「私じゃないよ!」
「冗談だよ。お前はピュアだもんな。じゃあ学校のイメージか」
私は頷いた。
「ついてねーな…お前」
「…そうだね…」
「つーか、お前、可愛いから、そう見えるんじゃ?」
ドキッ
「えっ?か、かわ…」
≪可愛い…?≫
≪今、可愛いって言った?≫
私は赤くなったのが分かった。
「本当、ピュアだな。性格イマイチだけど」
「なっ…!」
クスクス笑う勇史。
「もうっ!一言多いからっ!勇史だって負けてないからっ!」
「俺はありのまま出してるし」
「私だから良いものの、彼女にありのまま出したりしたら絶対嫌われるよ!勇史っ!」
「そん時はお前が慰めて♪」
「やだっ!」
私達は騒ぐ。
その日、外泊した。
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