第4話 あなたの背中

ある日の学校帰り ―――



「嘘ー、タイヤパンクってさ、マジヤバじゃん!道のりは、まだまだ遠いのにーー…ショックーー…」



「お嬢さん良かったら乗ってくーー?」



振り返るとそこには、敏基と勇史の姿。



「とうとうチャリンコからも見捨てられたかーー?成美ちゃーん」


「一言多いよ!勇史!第一、定員オーバーじゃん!3人乗りでもする気?」


「無理!」


「だったら言うなっつーの!」


「ねえ、もう一人の友達は?」 と、敏基。


「用事ですっ!いつも私ばっかで悪かったな!」



「誰もそんな事は思ってねーし!」と、勇史。


「勇史、送ってやれよ。取り合えず成美のチャリは俺が出しておくから勇史、後で迎えに来てくれ!」


「やだっ!面倒ーーっ!」


「そう言うと思ったよ。自転車屋さんには俺の家の連絡先を言っておくよ。成美のチャリの修理が出来たら教える」


「うん、分かった」


「はい、お嬢様のお荷物です」と、敏基。


「クスッ…ありがとうございます!」



私は荷物を受け取り、勇史に送って貰う。



「2回目だね」

「そうだな」

「ねえ、本当に迎えに行かないの?」

「バーカ、行くし」

「良かった!出して貰って申し訳ないと思ってたから」


「大丈夫だよ!」

「そっか、良かった。なんだかんだ言って仲良いんだね二人。おホモ達だね」

「そう!おホモ達…って…おいっ!テメー、振り落とすぞ!」

「えっ!?やだっ!ちょっと!悪魔っ!女の子に何て事すんの?」



私はぎゅっと背中を抱きしめた。



「あっ!ごめん…」

「別に遠慮せずにしっかり掴まってれば?むしろ、中途半端よりもその方が良いし」

「じゃあ、ぎゅうっと苦しい位抱きしめてあげようか?」


「それ恋人同士になったらして欲しいなぁ~♪」

「こ、恋人同士って…」



かぁぁぁっと熱くなる。



「おっ♪今、背中の体温上がった」

「馬鹿っ!気のせいだよ!第一、恋人同士って…」


「ちょっとエロイよな?」

「もうっ!馬鹿っ!」



クスクス笑う勇史。


私達は騒ぐ。



私は何となくこの時間は嫌いじゃなかった。





あなたの背中は


いつか


他の女の子のものになるのかな?




4月になって


私達の高校は合併して


たくさんの女の子たちが


あなたを GET したくなる………




きっとあなたは


モテモテだよね……












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