第3話 あなたの背中で・・・
「えー、来年4月から、我が校は共学となり……」
それは朝の朝会で校長が口にした言葉だった。
しかも、その高校が、二人が通っている所らしく
その日の学校帰り。
待ち合わせしている訳でもない私達4人は、会う事が度々増え、仲良くなり名前を呼び合うようにした。
今日は、敏基が後ろで前に勇史だ。
「ねえねえ、聞いた?俺達の高校合併するんだってー」
敏基が言ってきた。
「あー、らしいねー」と、私。
「つーか、共学って夢にも思ってなかったってやつ?」
と、敏基。
私達4人は色々話をしながら帰る。
「どんな子いるんだろう?やっぱ美人系とかいたりする?」
敏基が尋ねる。
「知らないよ」と、私。
「男と女って見た目のタイプ違うじゃん!テメーの目で確かめたらどうだ?」
勇史が言ってくる。
「いやぁ~、来年まで待てないなぁ~」
と、敏基が言った。
「だったら女装して来なよ」と、私。
「お前、良い女になったりしてな」と、勇史。
「嘘!?マジで?じゃあ、世は試し……」
「マジに取んな!」と、勇史。
「犯罪だよ~」と、私。
そんなある日の事。
「…あの…」
私に声を掛けて来る一人の他高生の男子生徒。
「はい」
「少し時間良いですかですか?」
「…はい…」
そして ―――
「あの…俺と付き合って下さい!」
ドキッ
突然の告白。
「えっ!?」
≪もしや…これは告白…?≫
「あの…えっと突然の事で…いや…気持ちは嬉しいんですけど…辞めた方が…」
「えっ?」
「続かないと思います」
「付き合ってみないと分からないし。ゆっくりで良いから」
私は彼の押しに負け付き合ってみる事にした。
1ヶ月程付き合い、恋人として付き合おうと決意し、私達は正式に付き合う事になった。
「……ねえ」
「ん?」
「男の子っさ、1ヶ月位、付き合ってても何もしないの?」
「えっ?」
「せめてキス位はするでしょう?」
「まあ……人、各々だし」
「……そうなのかな?」
「そうそう」
≪私…色気ないのかな?いや…でもキス位は…≫
「ねえ」
私は自分からキスを攻めてみた。
スッと手で止められた。
「みんな見てるし…辞めた方が…」
「………………」
そこへ ――――
「とおる」
≪女の人≫
「あの……」
「俺の彼女」
彼氏にそう言われた。
「えっ?」
私達に駆け寄る女の人を紹介された。
「ちょ、ちょっと待っ…」
「君、イケてるのは認める。でもちょっと…違うかなぁ~…」
「遊び…だったの?」
「いや、遊びじゃないよ。確かに好きだったんだけど、友達以上は無理かな?それに○○女子学だったし自慢になるから」
「それだけ?何それ……ふざけんなっ!○○女子学院だったからって…そっちから告白しといて酷いよ!」
「いや…マジでゴメンな……それじゃあ」
彼は彼女を連れて去って行く。
「………………」
私は、トボトボ帰るしかなかった。
その途中 ――――
「成美じゃん!」
名前を呼ばれ振り返る。
「…勇…史…」
「何、何?へこんでねーか?」
ギクッ
「ま、まさか…!」
「家まで送ろうか?通り道だし」
「…ううん…良いよ…歩いて帰りたい気分だし」
「………………」
「良いじゃん!乗れって!」
私は勇史の後ろに乗った。
「彼氏とデートだったんだろう?」
「……う…ん……」
そう、私達は、彼氏、彼女が出来た時は、隠さずに報告しようと決めたのだ。
4人での行動が増え、時々、学校帰りに待ち合わせをして寄り道コースしたりして
友達として出かけたりする仲になっていった為、本命の彼、彼女に誤解されないように、その時は、別々に行動して、異性といないようにしようとルールを決めたのだ。
「だったら送ってもらえば良かったじゃん」
「……う…ん……そう…だね…」
私は勇史の顔に顔を埋めた。
「成美?」
「……ん?」
「……いや…」
勇史は何かを察知したのか、それ以上何も言わなかった。
「…ねえ…勇史…」
「ん?」
「普段のあんたなら茶化してからかって馬鹿にするのにどうして?」
「その場の雰囲気、乱す気ねぇよ」
「…勇史…」
「慰めの言葉なくても良い時だってあるだろう?心と心が通じ合う時くらいさ。まあ、俺の独断だし、もしかすると場の雰囲気詠めない時とかあるかもしんねーけどさ」
「サンキュー!あんた良い奴だよ!」
「今頃、気付いたか!」
初めてあなたの背中で涙した
あなたは笑わず
ただ ただ黙って自転車漕いでたね
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