第25話 白黒はっきりさせなくていい
昔はね…白黒はっきりつけることが絶対正義だと思っていたんだ。
「いまはそうじゃないって思うの?あむ…」
ロリちゃんは、焼いた餅を食べている。
砂糖をまぶして、醬油をつけた餅に海苔をつけて食べると、幸福感に満たされる…。コタツで餅って鉄板だよね…そろそろ、あったかくなってきたのでコタツも片づける時期だなー…。
「おじさん、それで?」
はっ!
ロリちゃんが餅を頬張ってる姿を眺めてしまった…。
えーと…大人になってから、いろいろと経験して、考えを保留にする判断も大事だなーっていうことを学んだよ。白黒はっきりさせないと優柔不断って言われるけどさ…。白黒つけなくて良いことはつけなくて良いと思ったんだ。
「ふーん…具体的には?」
例えばさ、定番の質問で、仕事と私どっちが大事なの?とか。選べないとか、保留とかで良いんだなーって思ったんだ。昔は、仕事よりもちろん君だよって答えるべきなんだって思っていたんだ。
「そもそもおじさんには、無縁のシチュエーションだよね」
ごほん!ごほん!
いいの!イメトレは大事なの!!
仕事で、どっちの案が良いですか?って選択を迫られたら選ばなきゃいけないけど、それ以外のことは焦って決めることはないんだなって思った。最悪、死ぬまで答えを、ださないのもありなんだなって。
「ふーん…じゃあ、私と結婚する気あるの?とかは?」
えぇ…そ、そういう人生を左右する選択は白黒はっきりさせないといけないと思うよ。
「いまいち、おじさんの言いたいことがわからないよ」
えっと、板挟み問題で微妙に書いた話なんだけど、つまりはどっちが悪?どっちが正義?っていう話になったときとか。保留で良いんじゃないって思うわけ。
もちろん、
「たとえば?」
うーん…相手が自分の発言にイラっときたとする。それに対して不快な思いをさせて、すみませんって謝るべきなんだろうなと、いままではそう思っていた。
「うん。ま、そーじゃないの?」
そうでもないんだよ。仕事でもなく、周囲に迷惑もかけてるわけでもなくて、ただただ個人間のそーいう微妙なこと。自分が言いすぎたなって思わないかぎり、スルーしても問題ないんだよ。ロリちゃん。
「えぇ…」
いままでは、律儀に謝っていたんだ。自分が悪いかなー?って疑問に思ってもね。そしたら、自分がもやもやして微妙な感じになるんだよねー。
「それが、今回の白黒はっきりさせなくていいってやつ」
そうそう。灰色でOKだよ。
だって、人間関係に正解はないからね。相手が、こいつ謝らねーって思って離れるなら、それはそれで良しじゃない?
実際、スルーしてみたら、謝れよ!ってわざわざ言ってくる人はとりあえず、いまのところいないよ。つまりは、あえて空気を読まないってやつだね!空気読み過ぎは生きづらいぞ!
「そーいうのやるとさ、仲間外れとかにされちゃうんじゃない…?」
学生がやるのは、まぁきついかもしれないねー。でも大人になったら、仲間外れにされても別に何も問題ないよ。違うコミュニティ行けばいいからね。
「ふーん…大人の世界って広い?」
ふふ…学校より、うんと広いよー。
「へー…広いから白黒つけられないってことかな」
そうかもね。
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