第18話 若者の悩みとおじさんのぼやき

 やっぱ…10代について書くときって、今の10代のことを知らなきゃいけないと思うんだよね。

「そーなの?」

 ロリちゃんはそう言って、目の前のアップルパイを、さくりと食べた。

「甘いけど、酸味もあって…美味しい…このアップルパイ」

 おじさんが作ったからね。

「…前もシフォンケーキ作ったとか言ってたけど…おじさん…お菓子作れるの?」

 そーだよ。今はお菓子作りも簡単に作れるからね。良い時代になったよ。冷凍のパイ生地が売ってあるから、おじさんみたいに料理スキルがなくても、林檎を切って、バターと砂糖でじっくり焼いて、冷凍パイ生地で包んで、オーブンで焼けば、美味しいアップルパイを作れちゃうのだ。

「い、意外…」

 今どき、料理ぐらいできないとね。あと、本音はニートは時間があって暇だからね。良い暇つぶしだよ。

「優雅な暇つぶしだね」


 それじゃあ、今日は今どきの10代について書くよ!と言っても調べたことを書いて、感想言うだけなんだけど。

「で、おじさんは何を調べたの?」

 うん。今どきの10代って卒業式のとき、好きな人の第二ボタンをもらわないんだって…。

「へー…ていうか…そーいう話聞くと思うんだけど、なんでボタンなの?しかも2番目」

 ちょっと、調べたけど所説ありで、卒業式に好きな人の第二ボタンをもらうようになったかはわからないみたいだよ。そういう映画のシーンがあって、それで流行ったんじゃないかとか…言われているね。

「ふーん」

 ちなみに今の若い子は、スマホで卒業式の写真を撮るみたいだよ。なので、写真に映えるものが流行っているんだって。花束とか。

「へー…なんかおじさんは、しっかり若い子にキョーミあるんだね…」

 含みのある言い方!やめて!

 こういうの敏感じゃないとさ。10代の描写…古いって思われちゃうじゃん?悲しいかなぁ…今までは、特にアンテナ張らなくても耳に入ってきていた若者の情報が、いまやこうやって、情報収集しないと入ってこないんだから…こういうとき、おじさんになったんだなぁって思う。

 あと…今どきの10代の悩みをちゃんとわかってないと、おじさん、的外れなことを言っちゃうわけだし…

「いつの時代も、おじさんって的外れじゃない?」

 それがわかっているだけに…私はなるべく歩みよりたいんだねー。

「子供はいつの時代も、大人にはわかんないよっていう気持ちがある」

 なんだかその発言が10代じゃないよ…ロリちゃん…!

 でも、その気持ちわかる。おじさんが若い頃もそう思っていた。


(閑話)


 おじさんの若い頃って女子の体育服はブルマだったんだ。でも、いまの女子の体育服は普通にズボンだよね…そういうのって大事だなぁって…って最近思ってね。もちろん、時代にあった服装させた方がいいから…ブルマの時代の話書く分には問題ないと思うけど。現代の話で、ブルマ履かせるのはちょっと、違和感あるよねって思うんだ。ま、そういう作品は最近見かけないけどね。

「ブルマってあれって、正直パンツだよね」

 まぁね…。ズボンに変わってよかったと思うよ。

 そうそう。それで、若者のあいだで今と昔で圧倒的に違うものがあるんだよね…なにか、わかる?

「知らないよ…興味もないし」

 くっ…!もうちょっと、興味を持って!ロリちゃん!

 ごほん…昔と違うのは、ネットの普及によるSNSの台頭だよね。

「あたし…生まれた時からすでにネットがあるからさーSNSがないときがよくわからないんだよね」

 やっぱとても便利になったよね。

 それと同時に、とてもめんどくさくなった。

「めんどくさくなった?」

 うん…昔は連絡手段が限られていたんだ。

 私の時は、家にある固定電話が主流だった。

 だからさ、出たくない時、出なかったんだよね~。

 電話したんだけどって言われても、そのとき家にいなかったとか、普通に嘘をつける。

「え~…人としてどーなの」

 おじさん、基本的に人と積極的にコミュニケーション取りたいと思わないからさ。

 携帯を持っても、メールの返信しなかったり…相手に何か言われてもメールに気が付かなかったとか言ってったし。向こうは嘘かどうかは調べられないしね。

「最悪すぎる」

 でも、今の子達って、読んだかどうか『既読』がつくじゃん?

 スマホとか常に近くにあるじゃん?

 ゲームやSNSのログイン時間とかも知られてるわけじゃん?

 気が付かなかったー!とか言っても、お前、その時間、ゲームしてたよな!?とか、SNS更新してんじゃねーか!?とかバレるわけじゃん?

 そういうのってさ…正直…しんどそうだよね…。

「いっちゃったよ」

 若い時ほど、返事がないだけで傷ついたりするもんじゃん?

「返事しないで、傷つけてた側が…そういうこと言う?」

 まーだから、おじさん、友達いないんだけどさ…。なんというか、もっと気楽に生きたいよね。

「おじさんは、これ以上どうやって気楽になるわけよ」

 ふふ…照れるなぁ

「褒めてないよ。ニート」

 がーん…。

「だから、古いって」

 ま、おじさんから言えることは、人付き合いっていうのは、気が合う人は合うし、合わない人はどこまでも合わないので、さっさと見切りをつけて縁をきっちゃお!

「それが…むずかしいんだよ…今の時代…」

 まぁね…。今の子達は大変だなー。

「ほんと役に立たないな…このおじさん」

 

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