第17話 どうして人を××しちゃいけないの?

 目の前に幼女がいる。

 10才の金髪のぽっちゃり美少女…そう…

 ロリちゃーん!!!

「叫ぶな。ニート」

 眉をひそめて、睨むロリちゃん。

 しかし、前回の貫禄はない…幼さを秘めた青い瞳に安心する。しかし、将来、ああいう成長をとげることに、どこか納得してしまう。

 

 うぅ…ロリさんといると、おじさん…すごーく…ストレスだったよ。

「なんでよ」

 だって、なんというか上司といるみたいなんだもん。あぁいうちゃんとした人が目の前にいると、ちゃんとしないといけない気がするし。おならも安心して出来ないよ。

「良いことじゃん」

 まぁね…。でも!ここはニートの部屋なの!無限ダラダラ地獄なの。でかい音でおならをして良い空間なんだよ。

「メリハリのために、ときどき大人になろ」

 のぉおおおおおーーー!!!!


(閑話)


「とゆーか…おじさん…題名が不穏な感じするんだけど」

 しゃくりと、林檎を食べるロリちゃん。

 青森県産のあむぁーい林檎である。蜜がたっぷり入っていて、口に広がる甘さは筆舌に尽くしがたい。


 ふっ…今日は不穏な内容だからね。

「おじさん…根に持ってるでしょ」

 実は、ちょっとね…。

「大人げなー」

 伊達に10才と喧嘩してないよ。

 ごほん。

 それでは、今回のテーマはズバリ!

』だ。

「はっきり言っちゃった!?」


 ロリちゃん…実は言うと、若干ネタ切れでねぇ…。

 それで、おじさんが10代の頃に思っていたことを必死で絞った結果…出た内容がコレだったわけ。

「おじさんの10代の頃、やばくない?」

 今の自分だからわかる。正直、やばかった。

「こっちもはっきり言っちゃったよ…」 

 おじさんが、やばかったという理由もあるけど…ちょーと調べてみたらね…17世代だった。

「なにそれ…?」

 今の10代は知らないだろうね…。平成という時代において、記憶に残る少年凶悪犯罪が…集中して起きた時代があった。その少年凶悪犯達と同じ世代を、テレビや雑誌をそういうふうに呼んでいた。だからこそ、この問いをドラマやテレビで…よく見かけたんだー。

「どうして人を殺しちゃいけないの?って言う質問?」

 そうそう。それに対して、当時の大人は様々な回答をしていたよ。


 でも、10代の自分にとっては、どの回答も、しっくりこなかったんだ。点数で言うと50点ぐらい?言いたいことはわかるけど…って感じ。


 で、考えてたら自分がもう大人になってるし…子供に『どうして人を殺しちゃいけないの?』って聞かれたらどう答えるか書きたくなったわけなのよ。

「納得できる答えを用意できたってことよね」

 いいや。

「え゛」

 自分の中で、考えて出した言葉だけど納得はできない。

 それでも問い続けて、考え続けるって大事だと思ってさ。

 だから、いまから書く内容は、答えの途中なんだ。今、出せる苦し紛れの精一杯の言葉。

「ふ~ん」

 頬杖をついてるロリちゃん。


 それに、この問いってさ、すごくデリケートじゃん?

 2~3日程度で考えて、推敲した文章で書いて良い話題じゃないなって思ったんだ。それと、やっぱそれなりに調べて書かないといけないとも思ったんだ…。

 だから、もう一度、ちゃんと準備して話題にするかもしれない。

「おじさんって…なんで、そー無謀な挑戦をするかなぁ…もっとふわふわの明るい話題でも良いんじゃない?」

 えっへん!ここでは、やりたいことをするって決めたからね!


 じゃあ、いくよ。今の大人の自分から、あの頃の10代の自分への回答だよ。


「は~~…子供相手だとよく喋るよ…はいはい…どーぞ語ってくださいな」

 ふふふ。それじゃ、お言葉に甘えて。


 結論から言おう。

『どうして人を殺しちゃいけないの?』っていう問いに対して、おじさんが出せる今の答えは、そういう法律ルールだから。

「…どういうこと?」


 よくドラマや漫画ではさ、この問いに対する答えはね…感情で訴えるものが多いんだ。人を殺しちゃいけない。人を殺したら、罪悪感でもう君は、幸せになれない。家族や周りにも迷惑をかける。命を尊いもの…自分の欲望のために勝手に奪っていいものじゃない…などなどあったわけだけど…。

「うん」

 じゃあ、戦争では人を殺していいの?って思っちゃうわけだよ。屁理屈で口ばっかりの10代はさ。

「あ…まぁ、なんか大人に負けたくない時期だからね…なるほどね…あたしも言うかも」

 そもそも戦争という行為自体が間違っているって今なら言えるけどね。

 でも、実際いまでも、どこかで戦争が起きている。そこでは敵国の人間だったら殺して良いという法律ルールに変更されている。

 でも、ここは日本で、日本という国では人を殺したら罪になるという法律ルールが定められている。

 だから『どうして人を殺しちゃいけないの?』に対しては『君の考えで人を殺しても良いけど、日本の法律ルールに従って、君は裁きを受けて、罰を受けることになる』っていう答えになる。

「うーん…わかるけど…でも、なんというか感情のない答えだねー」

 そうそう。だから、おじさんは、あまりこの答えには納得はしてない。


 命は尊いものだ。って言う言葉に、生きるために牛や豚を殺してるのに?って10代の頃思ったんだ。それについても、法律ルールは人類が滞りなく、繁栄できるためのものであって、人間以外の動物についてはあまり考えられていないからだっていう答えでいけるかなって。


「うーん…おじさんはさ…情に訴える答えを馬鹿にしてるわけ?」

 いやいやいや…感情論を馬鹿にしてるわけじゃないよ。

 というか、感情が好きじゃないと、小説書きたいって思わないしね。


 でも、感情は時として、邪魔になるのかもしれないって思って、一度、感情抜きで考えてみたんだ。納得はあまりできないけど、シンプルな答えだと思うよ。

「というか、ただのニートのおじさんが正解に近い答え出せると思ってるの…?偉い人や頭の良い人だって…、こういう質問されても困ると思うよ」


 時間があるからこそ、こんなことを考えるんだよ。が出せたら、おじさん…偉くなるかもね!でも、考えて、調べる時間は良い暇つぶしになるよ。

「嫌な時間の潰し方だね…」


 話を戻すとさ、子供の頃、どうしても感情論だけの答えに納得いかなかったんだ…。どこら辺がって言うと、人を殺したら、後悔するってところだったんだよねぇ…。

「おじさんは、後悔しないって思うから?」

 さすがに、そこまでサイコパスじゃなかったよ。

 でもさ、世の中には平気で精神的にも肉体的にも他人を傷つける人がいるって知っていたから。その人達は、人を傷つけても罪悪感があるように見えなかった。そういう人って後悔するのかなって…思ってね。

「どうして、そういう人がいるんだろうねーしゃくしゃく」

 口に入れた林檎の咀嚼音は美味しそうである。


 他人の痛みには興味がないんだろうねぇ…。

 あ、いま思い付いたけど、教育で人を殺した時の刑罰の重さを教えるべきなのかもしれないって思ったよ。

「うーん…しゃくしゃく」

 ロリちゃんは、ちょっと茶色なってきたリンゴを慌てて食べている。


 他人の痛みに興味がなくても、自分の痛みには敏感だからね。そっちの方が効果があるんじゃないかな…これも極論かな…う~ん…。

「おじさんって考えるの好きだね」

 お金を使わない娯楽だからね。

「こうやって、今日も一日終わるのであった」

 あ、勝手に終わりにされた!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る