第38話 オタク趣味について

 なんか…ここ10年でアニメ系のオタクの認識変わったよねー。

「そうなの?もっもっ…」

 そう言って、ロリちゃんは丸いグミを食べている。

 最近のグミはぷにぷに感がすごい。

 昔は弾力のあるゴムって感じだったのに。


「オタクって今も昔も、眼鏡かけてーリュックを背中に背負ってるもっさい人ってイメージじゃないの?」

 ふ…ロリちゃん…もう、そのオタク像は古いよ。

「そうなの?」

 いまや、オタクでもおしゃれだぜ…?多分、ネットで服が買えるようになったことが大きいのと、雑誌も電子書籍で見れるからね。爽やかイケメンだって、ぴちぴちのギャルだって…人気のアニメ、漫画をたしなんでる時代だよ。

「そうなんだ…まーいいことだね」

 うん。それに伴って『え?アニメ好きなの??オタクじゃん(笑)』っていう、馬鹿にした空気もなくなった。『え?アニメ好きなの?なに観てる?』って感じだもんね。

「まーよかったんじゃない?」

 つまり、アニメオタクだから馬鹿にされて、いじめられるって言う描写はもう時代に合わないのかもなーって思うと、なんだか少し感慨深いなーって思う。

「そうなの?」

 ロリちゃんは、グミの感触を指でぷにぷにと遊んでいる。


 やっぱりね。『オタクじゃん(笑)』っていう反応されてしまうとね。『オタクですよ(笑)ふひひ』ってやってしまっていて…いま思うとねーアニメ好きだけどそれがなにか?馬鹿にされる筋合いないんだが?あ゛?って反応すればよかったなーって思った。

「もっもっ…それ出来たらねー強いよー。おじさんには、まだ早いよ」

 いつかできる日がくるんだろうか…っていうか、もう時代が変わったから、そういう言葉で返す必要もないのか。

「平和になるってこういうことなのかな」

 そうかもねー。


 あと、ここも語りたい。ロリちゃん。二次創作って知ってる?

「えっと…ファンアートってことだよね。」

 そうそう。非公式のファンアートのことを二次創作って言うんだけどね。二次創作ってさ、昔はすごくニッチな趣味だったと思うんだ。オタクのイベントである同人誌即売会もしかり。しかし、いまや全国放送のニュースで話題になるぐらいの認知になってしまった。

「それがどうしたの?」

 多くの人に知られるってことは、ルールが必要になってくるってことだよ。昔はね、オタクだけの小さなコミュニティで、個人の良識に頼ったルールだった。企業も、非営利のファンアートであることから、目をつぶった。

「うん」

 でも、ここも時代が変わりつつある。公式と同じクオリティか、それ以上の作品のファンアート…二次創作が出てくるようになった。

「それって問題なの?」

 ファンじゃない一般の人には見わけがつかない。公式かと勘違いする人が出てきたんだ。それはもう、お金を偽造する。偽ブランドを売る…それと同じレベルなんだよね。

「え?そうなの…?」

 創作したファンが、これは二次創作です!!と明言してくれたらいいけどね。世の中には理解しがたい人がいるからね。そーいう人のなかに『公式です』って言っちゃう人も出てくると思うんだ。

「えぇ…」

 一般的になるって良い面もあるけど、悪い面もあるよね。おじさん的には、のびのびと二次創作できる時代は、そろそろ終わるんじゃないか?って思ってる。

「そうなの?」

 おじさんのあたらない予想だからね。あたるかなどうかは知らん。ただ企業は、もう目をつぶってられないと思う。はっきりとしたファンアートのガイドラインはもう出さざるえない状況だと思うし、出してる企業もちらほら出てきたしねー。

「ふーん…いろいろと変わっていくんだねー」

 長く生きるとこういうの感じられて、面白いと思うよ。

 

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