第32話 話し合いできる?

「話し合いぐらいできるわよ」

 ほんとー?

「ふん…。話し合いって、要は相手に、こっちの意見をわからせるってことでしょ?」

 ぶっぶー!50点!そう思ってる人が、世の中に多いこと、多いこと!

「えー!」

 何故かは知らんけど、話し合いってホント、自分の意見を押し通すって思ってる人が多いんだよね。そして、相手の意見を潰すことだと思ってる人が結構いる。最初から相手の意見に聞く耳もたねぇっという人がほんとに多い。

「違うの?」

 うん。話し合いって、両者が納得する折衷案を出す。これに限るよ。

「せっちゅーあん?」

 つまりは、お互い譲れるところは譲って、折り合いをつけた案のことだよ。

「たとえば?」

 そうだねー…たとえば、子供がお小遣いのアップを親に要求する。

「うん」

 親はお小遣いアップするかわりに、月に1回の洗車の手伝いを要求した。ガソリンスタンドで洗車しない代わりの、浮いた分のお金を子供のお小遣いにあてるということだ。だから、手伝った月は洗車代分上乗せするけど、手伝わなかった月は元の金額になる。こうすることで、子供はお小遣いアップになるし、親は車がきれいになるってわけ。

「なるほど…ちょっとわかった」


 でも、世の中、だいたいこういうのが多い。

 子供のお小遣い上げてほしいっていう要求に、親は最初からお小遣いはあげません!って突っぱねるのだ。さらに、お小遣いは上げないけど、車の洗車は手伝えと要求される。

「えー…そんなの嫌だよ…」

 そうでしょ?話し合いするときって、ごり押しはいけないよ。もちろん!会社の話し合いとかで、利益を出すという目的があれば、ちょっと変わってくるけどね。

 話し合いって、喧嘩しないようになるべくお互いにとって良い方向にするためのもの。決して、相手を負かすためにするもんじゃない。

「うーん…なんかディベートと勘違いしちゃってたかもー」

 おじさん、社会に出て思ったのは、なかなか話し合いって難しいんだなーって思ったよ。

「大人でも難しいの?」

 うん。社会には、わざと相手を怒らせるようとする人もいるんだよ。

「うわー…なんで、そんなことするの?」

 大人の世界では、怒ったほうが負けっていう暗黙のルールがあってねぇ。

「え˝ぇっ…??」

 よくさぁ、テレビでレポーターの人が政治家を怒らせるために、わざと意地悪な質問してたりするよ。

「そ、そうなの…?」

 怒らずに長年、テレビに映ってる人の精神力に敬意を表すよ。おじさんは。

「言われてみれば、大御所って言われる人たちって、大声で怒鳴ったりしてないもんね…」

 なんだかんだといっても社会は弱肉強食だよね。罠にはまったら、あとは死を待つのみ。強くなれよ。若者よ。


 話は戻るけど、話し合いの中に、文句だけ言う人が必ずいる。

 そういう時はこういう!『そんなに文句があるなら、お前がやれ!』はい!復唱!

「文句があるなら、お前がやれ!」

 良い感じ!

「えー?文句ばっかり言う人っているの?」

 いるいる。人がやってくれると思うと、人は無限に要求が高くなるのよ。

 でも話し合いよ?話し合いって対等で行うものだ。

 顧客と会社じゃないのよ

 どーする?って話し合う場合で、文句だけ、だらだらと言うやつがいたら。

 じゃあ、お前やれよっていう話だよ。やるつもりもないなら、黙っとけっていう話。

「なるほど。確かに、人にやってもらうなら、ちゃんとしてもらいたいって思うけど」

 ネットの話し合いとか、みんな他人事だから、無限に要求が高くなるし、決着はつかないから、だから時間の無駄だヨ。

「そうなんだ…」

 話し合うメンバーも大事だよね。だったら、俺がやってやる!っていう人ばっかじゃないと前に進まないしね。

「実際、そんなやる気ある話し合いってあるの」

 おじさん、生まれてこの方、そんなやる気に満ちた話し合いに参加したことないよ。

「参加したいような…いや…したくはないかな」

 疲れそうだよね。

「うん…」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る