第9話 運命って理不尽
最近、時間があるから病気のコミックエッセイ読んでるんだけど。
「げ…暗いわね…」
うふふ。つい読んじゃうんだよね。自分にも起こりうることだから、ドキドキする。そんで、人生、無為に過ごしてるなってドキドキする。
一つ、気づいたことがある。いろんな病気のコミックエッセイの中で必ず似たような言葉が出てくる。
『どうして私が病気になったの?何も悪いことしてないのに』
その言葉に、そりゃそうだろうなって思う。正直、大病って本人の努力ではどうしようもないじゃん?生活習慣というよりは遺伝の問題だったりする。あまりにも不条理。泣くしかないよね。確率という神様を恨むしかない状況。
「でも、そういう運命なんだから、しかたないんじゃないの…?」
そう納得しようとしても、きっと自分がその立場になったら、納得できないと思う。でも、世の中そんな出来事がたくさんある。珍しいことじゃない。
清く正しく生きていようが、悪いことしていようが、病気になるときは病気になる。もし、悪い人間だけが病気になる世界だったら、この世から悪い人間はいなくなるのにね。現実はそうじゃない。もう生まれたときから定められた運命ってやつなんだよなぁって。
「また哲学ぶってるねー」
ロリちゃんはそう言って、板チョコをぱきりと折って口に放り込んでいる。
「うーん…高級チョコより100円以下の板チョコの方が美味しい気がするんだよね」
きっと舌が庶民なんだよ。
「うるさい」
こういう本読んだ後、一日も無駄にせずに生きるぞ!って思うけど、朝起きたら、だらだらしちゃうんだよね。
きっと私は、若くして大病を患っても、年老いてから大病を患っても後悔するんだろうなって思った。
「死ぬのを意識したとき、後悔しない人っていなくない?」
ま。生物って多分「死」を恐れるようにプログラムされてるんだろうね。
「そうしないと、死ぬしね。生きるって結構しんどいよね。食べないといけないし、寝ないといけないし」
だから、そういう必要なことに快楽を感じるようにしてあるんだろうねー。うーん、よくできてるよ。
結局、30数年生きて、わかったことは後悔しないように生きる生き方は難しくて。
死ぬのが怖くない人なんていないってことだ。
テレビに映ってる人も、総理大臣も、偉そうな坊さんも。
みーんな、心の中では死ぬのは怖い。
でも、それは恥じる必要はないし。当たり前なんだよね。
というか「死」について、誰かと話したことないな。
みんな、話したことあるのかな。わからないや。
でも病気なんてこの世からなくなればいいのにね
「そういう人が、医者とか研究者になるんじゃないの?」
うーん…すごくかっこいいね。
頭があがらないね。運命に抗う人間…かっこいい。
転生したら、医者になりたいよ。
「今度、そーいう話書けば?」
うーん…そうだね。書くにはそれなりに医者について調べないといけないから…また、いつか…機会があったら…。
「あー…そんなんじゃ、転生しても医者になれないわー」
すん。
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