第10話 無意味な約束の意味

 ねぇ、ロリちゃん。今度、一緒に旅行に行こうよ。

「…あたしって、あんたの妄想でしょう?ここから出れるの?」

 キョトンとした顔で私を見ている。

 いや、出れないよ。

「じゃあ、それ意味ないじゃない」

 馬鹿にした顔で私を見る。


 うーん…無意味な約束はしてはいけないかなー?

「…意味ないじゃん」

 細い眉を寄せて、ロリちゃんは、くしゃっと渋い顔をした。

 困ったような、なんとも言えないって感じだ。


 私は、無意味な約束が好きだ。人生、きっと果たされてきた約束の方が少ないから。

「ふーん…変なのー?無意味な約束に意味はあるのかしら?」

 そういうロリちゃん。少し考えたあと、ため息をついて、私の無意味に付き合うことにしたらしい。

「それじゃーどこに行くの?」

 彼女の深い海のような空のような目がこちらを見た。


 そうだなー…ロリちゃんが喜びそうなところ。うーん…遊園地とか。

「…それじゃあ、おじさん。ジェットコースター乗るの付き合ってよ」

 え…おじさん、絶叫系はちょっと…。

「だめだめ。絶対…約束だよ」

 ちょっとだけ楽しそうにロリちゃんは、小さな小指を突き出す。

 私は少し挙動不審になりながら、指切りをした。

 うん…とりあえず、遊園地に行くために仕事を探さないとね。

「そうだよ。あたしを当てにしないでよ」

 うん。約束。


 

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