第8話 恋愛について話すよ

 この小説、一応性描写あり(R15)としたので、今回それっぽいことを話そうと思う。

「セクハラ」

 青い目を細めて、ロリちゃんはこちらを睨んでいる。今日のおやつはバナナだ。他意はない。ほんとだよ。

 ロリちゃんは知ってる?いまの30代前半の未婚率約50%らしいよ。

「え、じゃあ二人に一人は独身?」

 そう考えてもいいんじゃないかな…。

「日本の未来は暗いね」

 でも人類は増えてるから、食料やエネルギー不足を考えると日本の人口減ったほうがいいんじゃないかって思うけど。

 それで、恋愛についてなんだけど。この2人に1人が独身という結果を考えると、わたしが10代の頃に教えられた性教育は失敗だったという結論になると思う。

「…っていうかー、こういう話を10才にする…?」

 ロリちゃんは、心なしか嫌そうな顔をしている。

 大丈夫、君の心は30代だから(ぐっ)

「嫌だよ!そんな設定!」

 ごほん。まー、ちょっと極論だけど、30代の未婚率が高いのは性教育だけが理由って言うのは言い過ぎかもしれない。けど、一つの要因ではあると思うんだ。

「…で?」

 うん。わたしたちが、受けた教育って、なんというか実践的じゃないんだよね。

「実践的?」

 赤ちゃんはどうやってできるかと教える学問って感じじゃん?じゃあ、実際に、女性とベッドインするにはどーすればいいの…?とか、どうやって女性と付き合うの?っていうのは教えてくれないじゃん?

「いや…それは学校で教えることじゃないでしょ」

 だから、再びアニメ、漫画、小説、映画の登場ですよ。

「出た…」

 それには、こういうのが多いんだ。心優しい美人な女の子が、冴えない自分の良さに気づいて好きになってくれてる。

「う、うん…」

 それで、じゃあ、真面目に生きてたら、そのうち、そういう子に出会えるのか…と思っていたら、この年齢。

「あー…ええっと…うん…現実は厳しいね…」

 それだよ!それ!

 現実は厳しいってことを教えてほしかった。

「でも、アニメ、漫画、小説、映画で、ヒロインにフラれる話なんて、誰も読まないよ…探せばあるんだろうけど」

 本当にそれだよ!

 現実でモテないのに、なんで現実逃避の物語でもフラれないといけないんだよ!

「もー…何が言いたいのよ…」

 私の主張は変わらず【虚構と現実の区別をしとけ】なので、虚構の物語でハーレムなのは何も問題ない。誰だって気持ちの良い物語読みたいもの。

 愚かなのは、自分にも、そのモテモテハーレムイベントがリアルに起こると、信じちゃったことだ。

「でも、それは別に信じてもいいじゃん」

 別に信じることは否定はしない。でも、物語みたいに現実は甘くない。

 わたしは物語の表現規制より、と区別させる教育の方が大事だと思う。その部分に性教育も絡んでくる…と思う。


(講義開始)


 ごほん。それでは僭越ながら、ニートおじさんが恋愛について教鞭をとるよ。

 ※ニートおじさんのお気持ちを書いてるだけです。

「あーもー炎上しても知らないよ!あと、地味に逃げ道作ってるし!」

 大丈夫。ここ読んでる人少ないから。逃げ道も作るよ。30代だからね!


 おじさんは20代前半のとき、セックスしたくてしょうがなかった。

 とりあえず、童貞を捨てたかったのだ。

 あと、とにかくセックスしたかった。

「うん…」

 とりあえず、ネットでググってみたんだ。

 セックスするには、まず恋人を作らないといけない。

 恋人を作るにはどうすればいいんだと調べてみたんだ。

 あと、そういうモテルには?っていうハウツー本も読んだ。

 感想は…、めんどくさいなぁだった。

 セックスするまで、異性と信頼関係を築く、正直、難易度高いよね。

「あー…いまだに童貞な理由がわかった」

 でもでも、何か変わるかもしれないっと思って、婚活もしたんだ。そういうパーティーにも行った。

「婚活したんだ!?」

 うん。

「どうだった…?」

 お酒飲んで、おいしくない料理をつまみ、目の前を回転ずしのように女性が流れていく。…なんというか企業の面接だったよね。仕事は?年齢は?趣味は?出身は?

「もっと、ロマンチックな感じじゃないの?」

 うん、でも現実ってこういうもんだと思う。

 ロマンチックな出会いはね。一部の人だけだよ。だから、物語になるんだよねー。

「恋人できたの?」

 いやー結果は目の前にあるじゃないか。

 でも、女性の手をつなぐ機会があったんだけど…。

 好意を抱いてない人の手って、ほんとに普通の手なんだなぁって思った。

「どういう意味?」

 なんか、恋愛小説とかではさ“白く細い指が絡まる。その手を守るように握り返した”とかってドキドキに描写されるけど。別にそうは思わなかった。ただの手だった。それに何も心が感じなかった。

 だれかに特別な感情を向けるって思ってるより難しかった。架空のキャラには共感するのにね。

「…それって、物語が鮮やかだから、現実は物足りないってこと?」

 そうなんだよね。

 で、恋人いる人とか、結婚してる人に馴れ初めとか聞いたら、皆、なんとなく付き合って、なんとなく結婚して…ってさ。

 現実はそんなものなんだけど、私は運命の人とセックスしたかった。

 でも、この年になってわかったよ。最初から運命の人なんていなくて、長い時間、連れ添って運命の人にするんだよねーと。

「言い方…でも、言いたいことはわかる。最初からたった一人の運命の人って実在しないってことでしょ」

 そうそう。普通に考えて、絆マックスの床上手の処女は現実にいないよね。

 悲しいよね。物語の中には絶対的な絆がある。揺るがない。何があってもちぎれない運命の糸。現実には、どこにもない。ドラゴンと同じ存在だなんてねー。


「…おじさんは、誰かと恋愛する気あるの?」

 とりあえず、良い縁があればね。まー最後まで独身でも、ゆるゆると生きていくよ。お姫様はいないとわかったから。そもそも、私は王子様じゃなかった。

 いまは、20代の頃みたいにとにかくセックス!という気持ちはなくなったし。

 むしろ、右手がテクニシャンすぎてね。

「…とりあえず、働きなよ。ワンチャンあるかもよ」

 そうだね。とりあえず、収入ないとね。無職の童貞には厳しい世の中だからねー。

 

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