衛兵は田舎娘に

俺の名前はプ いやなんでもない。


名前など、どうでもいんだ。


俺はこの王都エマリアで衛兵をしている。


何もない事が平和ではあるんだが


さすがエマリア、色々な人がやってくる。


ほれみろ、上司のジェフさんが田舎娘につかまってるじゃないか。


なんで田舎娘ってわかるかって?




「身分証を出せと言ったんだが。。。?」





「だからいま出してるでしょ!ほらこの立派なジャガイモ!どっからどうみても

ホンジャカ村のジャガイモじゃないの!嗅いでみなさいよ!ホンジャカの匂いがするでしょ!」


ふきそうになったわ。




衛兵をやっていると様々な声を聴くことがある。


正直こうやって聞き耳をたてた時に、こんな会話のやりとりをされると

笑ってはいけない衛兵24時になってしまい耐えるのが大変だ。


しかし俺はベテラン衛兵、この程度はなんでもない!




「なんだ、商売をしにきたのか?ならほかのジャガイモが見えないんだが?」




「えーそうよ。わたしはホンジャカからジャガイモを売りにきたの!

でも道中おなかが空いたから、ほとんど食べてしまったわ。」


ぷっーーーwなんだこの田舎娘ありえんだろう。なぜ商売品に手をだすんだ。


「思い立ったらレッツラゴーってのがうちの村の伝統なの。

だからやっぱ商売始めるなら王都じゃない?一回も行った事ないし行ってみたかったの♪」


やばいお腹いたい。思い立ったらレッツラゴーってなんだよ。

行き当たりすぎるだろお前の村。



「いいかい?教えてあげるけど、身分証ってはこうゆうのだよ。

冒険者達が主に使ってるいる 冒険者カード。


次に商人たちの 商業カード。


公爵や子爵などの階級が高い 爵位カード。


次はね、誰でも持っている 住民カード。


誰でも持っているんだよ、普通は!いいかい普通は誰でも持っているんだよ!」



あーあー上司の悪い癖だ。弱い人間を見るとすぐに攻撃したくなる。

いつも上からの立場で物事を言う人間は嫌だねぇ。。。



「だから!このジャガイモが身分証だって言ってるんでしょうがぁぁ!うらぁぁ!」


やべぇあの田舎娘、ジャガイモでジェフさん殴ってるし。流石にそれはまずいまずい。


ストップ!!

ストップ!!!


「ジェフさんも君も争わない!平和にいきましょう、平和に。」




「あーもう散々だ。プリン、もうこの子はお前に任せる。

あとは任せた…」




あの野郎、マル投げしやがった。これだからあの糞上司は!



「あら?あなたプリンって言うの?おいしそうな名前ね!」




だから嫌なんだよこの名前。名乗ると恥ずかしいし、あーもう恨むぞ両親。



「あーそれじゃあとりあえず、ここの商業ギルドで登録してカード作りますか?」



「あら、王都の男は親切って聞いたけど、本当に親切なのねありがとう。」



なんだこの子!?だっさい恰好してると思ってたけど、よくみたら可愛いじゃん。でも片手にジャガイモは流石になぁ。


「プリンさんあれは何かしら?」 


あーあれは王都名物のミャル煮込みだね。

王都で取れたミャルを煮込んだものさ。

 

「食べたいのかい?」


「ぜひぜひ王都の男性は本当に親切ねぇ。代わりにこのジャガイモを上げますよ。」


「いや大丈夫です。」


「あらそう、おいしいのに。。」



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「これで登録できたのかしら?」


「そうだね、これで商売はできるよ。

でも売るものがないじゃない?君はこれからどうするんだい?

またホンジャカだっけ?戻ってジャガイモ取ってくるのかい?」


「ふふ、プリンさん。あたし良い事思いついたの!

さっき食べたミャル煮込みあるでしょ。

あれに近い料理が、あたしの村にもあるの!

それをこの王都で売れば、あたしは成功すると確信してるわ!」


なにこの子、どっから来るのその自信。無駄にガッツポーズして熱く語りだしてる。


「というわけで、プリンさんあなた衛兵辞めてちょうだい。」


え?


「あたしこの王都来て、知り合いもいないし全く街の事情がわからないの!

行く当てもないし、とりあえずしばらくあなたの家を拠点にして、、商売を始めれば、、」


おおい~!ちょっと待て待て何を言っているんだ!?


「あーそうね。ごめんなさいね。まずは作戦会議よね!」


「まずは王都の食材を一通り食べてから、、ブツブツ」


なぜこうなったーーー




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ジャガイモは凶器( ゜Д゜)




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