弟子は親方に

「エッダ、もしかしてと思うが、、

それは俺が作った剣をまねているのか?」


カンカンカン


「そうですね、私がやっぱ再びこの道に進もうと思ったあの剣。

あの剣を今度は自分の手で作ってみたくて……」



「…まずはそこから始めてみようかと……

でもうまくいかなくて……普通の金属じゃない気がして……

なにかが足りてないような……

そんな気がしてならならいんです……」


無数に並んだ失敗作は、確かにモーズが作った剣からすると何ランクも落ちる物だった。


「ガハハハ!!その通りだ。あれは普通の金属ではない!

別の素材を掛け合わしたものだ!

でも、残念ながら今のお前じゃあれは作れねぇ。。」



「親方!笑わないでください!あたしは真剣なんです!」


「あーすまねぇすまねぇ、馬鹿にしたわけではないんだ。

お前が素材の意味を知っていれば、もしかしたら作れるかもな。」


「それはどうゆう意味ですか?」



「…まーいい、わからない素材を教えてやろう。


これがその素材だ、なんだと思う?」


「なんですかこれ?粉末になっていると流石に元がわからないです…」



「試しにこの素材を使って、小刀でも作ってみろ!できるかなぁ(ニヤニヤ)」





-----カン!----カンカン!----




「だ、だめです。。小刀なのに、うまくできません、、

な、なんですか、この素材……」







「それはな、俺が首飾りにつけているこれだよ。」

言われてみればいつもモーズの首にはいつも2本の首飾りがあったような気がしてた。


「ボルトルの角だよ」 




「ボルトルの角!?あの素材を使ってるんですか?」





「エッダ、ボルトルの角についてどれくらい知っている?」




「…そ、そうですね、、とにかく硬いってのと

粉末にして武器に混ぜるとその武器が長持ちするって事と、、、


………………


あと…

…少量でも混ぜると難易度が上がり

1流の職人でも、とても扱うのが難しい素材だと聞いてます……」


「実際のボルトルを見たことは?」



「な、ないです、ないです!

そもそも、わたしの故郷にはいない動物ですし。。

私はハンマーを握る事しかしてなかったので……」





「ふんっ、よしわかった!」




「…おいバース!しばらくうちは休みだ!


このエッダを連れてボルトルを見せに行かなきゃいけねぇ。」



「…え! はっ?なに言ってるんですか!

ハンマー握りすぎてて、頭までおかしくなったんすか!

明後日までには納めなきゃいけな、、、うぎゃー」




「バースそれだろ、おめーが欲しいのは!ちゃんと確認してみろ。

自身をもって作った間違いなくなく俺の作品だよ。」




「も~商品を投げないでくださいよ!

え!?それよりも、親方がちゃんと納期を? 

まさかーはははは。」



!!!!


「…確認しました。

疑ってすいませんでした。

あとその手に持ったハンマーをしまってください。」





「ちっ、バース、おめーあと一歩謝るのが遅かったら頭勝ち割ってたぞ?」



「すいませんすいません、ごめんなさいごめんなさい。エッダ、ボルトルの角だな?うん確かにいい勉強になる。こっちは任せて行ってこい。」



―――

―――――…







「ん~空気が違う~!

親方、な~んかあたしこの1年で故郷を離れたり

エマリア王国に来たりそしてこのレーベに来たり、なんか今あたし充実してるなーって感じてますよ~」





「…ふんっ、まぁ旅は刺激になる。

お前も若いんだから色々な経験をしろ。様々なものに触れてみろ。

見分を広げろ。それは、結局お前のためになる。」


実際にはモーズにも久々の旅ではあり、モーズも内心ウキウキ気分ではある。


「次は馬車だ!行くぞ。」



「了解です、親方!」



―――

―――――…







「見ろ、あれがボルトルの雌だ。」


「なんか、お高くきどってますねぇ。。。」

目に映る馬のような大きい獣は、優雅ではあるがなぜか人を馬鹿にしたような立ち振る舞いをしていた。




「まぁ、野生の動物のメスなんてあんなもんだ。」




「そして、あれが雄のボルトルだ。まだ若いな。」


「立派な角ですねぇ~見ていてなんか感動してきます。」


「ふん!あんな角なんてまだまだだ

あっちにいる群れのリーダーを見てみろ。」


!!!


「さっきの角と全然違うじゃないですか!

あのボルトルからなんか歴史を感じます。」



「まぁあれもまだまだだ。」


「えー、あれでもまだままだですか?」



実際ビンズに渡した剣に使われたボルトルの角は

20年間リーダーだったものであり。そのものだけで途方もない価値であった。


「あれで5-6年のリーダーといったところだ。」




「おっ、エッダお前は本当に運がいいかもな。

ちょうどいいものがみれるぞ。」


2頭の雄は見合ったと思うと、足を地面に叩きつけ

いざ戦闘態勢と行ったところだ。


2頭の雄がぶつかる。


「さっき見た雄が群れのリーダーに向かっていって角をぶつけている!」


「あれはどちらの角が優秀かを競っているんだ。

勝ったほうが群れのリーダーになるのさ。」


ぶつかった当初は若い雄が若さで押し切るのかと思いきや、群れのリーダーは長年の技や積み重ねた歴史のあるその角で若い雄の角をへし折った。




「あーやっぱり、さっきのリーダーが勝ちましたね

まぁやっぱ群れのリーダーは違いますねぇ。」



「エッダ大事なのはそこじゃねぇ」


「負けたオスを見てみろ!角が折れただろ?あの雄はもうだめなんだよ。

角がどちらかが折れるまで勝負は続く。

さっきみたいにあっけなく終わるパターンは珍しいんだが

やつはもう、、終わりだ。負けた雄は群れから離れて生きるしかない。

ボルトルはあまり単独では強い生き物ではない。

負けたオスに待っているのは、、



死だよ。。。。」


まぁ群れのリーダーにも同じことは言えるのだが、雄は負けてしまえば全てを失う。



だから絶対に











【折れてはいけない】










あの角は象徴でもあり、やつら雄にとって折れない角は




誇りなんだよ。






折れはいけない象徴 






素材を使えば長持ちする




「どうだ!

まさにビンスの息子に渡すに100点の素材だろ。」


「――ッ(!)」

えー、まさに その通りですね。。」






少量でも使えば 難易度が上がる




燃えてくるじゃねーか!難易度上げるだけ上げてやろうじゃねーか!


だって、俺らは 【職人】だぜ。 


壁が髙ければ高いほど、超えてやろうじゃねーか


そう思わないか!エッダ!











「エッダ、なぜ俺がこのボルトルの首飾りをしてると思う?

俺のはな、この首飾りに俺自身に誓いを立てたんだ。






【妥協しない】



【納得いくものを作る】 



それだけは、絶対に守る。



それが俺の折れてはいけないものだ!



そう誓いを立てたんだ!」




「…どうだエッダ?今の話を聞いてからボルトルの角を使って叩くのと

何も知らないで、ただハンマーを叩くのじゃ違ってくるとは思わないか?


素材の意味を知っていれば、作れるかもなってはそうゆう事だ。

素材の本質や価値を見いだせ

俺たち職人はただハンマーを打つだけじゃないんだ!」


「エッダ、お前にはあるか?成し遂げるもの、これから絶対折れてはいけないものは!」


------

----


---




あたしにとって、妥協しないもの、折れてはいけないもの。。。

あたしが目指すべきもの。。


------

----


---

「…あたしは、、、親方を超えたいです。。」


ほー


「あたしは、鍛冶屋としてはまだまだです。


親方の足元にも及びません。


でも、



でも、、




モーズさんっていう世界一の壁があるんです!


燃えてるくるじゃないですか! あたしだって【職人】なんです!


高い壁があるなら超えてみたいんです!


それがあたしの、折れない心です!


------ 駄目でしょうか、、?」



「---ば~か。ふんっ、そこは駄目でしょうかじゃないな。


やってみせます!だ。





「――ッ(!)」




「やってみせます。


 絶対に親方を超えみせます!」



「そいつはぁ楽しみだなぁ、、

よし!欲しい素材ができた。

取りに行くぞ。」




「うおお親方!!あたしは、今 燃えてますよーーー!!!

なんだってやってやりますよーーー!」


ニヤリ


「ならちょうどいい、ベルエーグ火山だ。燃えてるんだろ?ちょうどいいなぁ。ガハハハ」


そ、そんなぁぁ、、、


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親方だって弟子を振り回したいよね(*´∀`)








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