親方は弟子に2

----カン!----カンカン!----


普段なら罵声が飛び交う鍛冶屋モーズであるがその日は朝からおかしかった。

近所からもあれ?今日はモーズさんいないのかしらと思われるほど静かなものであった。


「お嬢ちゃん、なんでうちに弟子入りを志願したんだ?」


「あたしの名前はエッダです。」


モーズの言葉に耳を傾けながらも、火の粉を打ち付ける姿は間違いなく職人と呼ばれる者であり、容姿が女性という点を除けば、腕前たるやモーズの弟子のバースなどと変わらないものレベルであった。


「ふっ、エッダ。

おめーさん鍛冶をやり初めて15年以上くらいかな?

確かに、腕はいいかもしれねーがまだまだだな。

おめーさんが作ったそこの武器見てみな。」



「そこに並んだ武器は等級以上の武器だろう。

だがなー、【職人】ってのは分かっちまうんだよ。

おめーさん、魂がまだまだ足りてねぇ

どう作りたいか、なにを目的をして作りたいか、そこがねぇ。」


「武器ってのは、寄贈用や戦争、冒険、インテリア、いろんなもんがある。

そのなかでも大事なのは、、」


「すいません親方!作業中に話しかけないでください!」


一端に言いやがると思いつつも、普段から怒る側にいるモーズからすると

仕事の場で他人に意見することはあっても、意見を言われる事など

もはや何十年ぶりのことであり、なぜかうれしいものであった。





-----カン!----カンカン!----




「…………あたしはですね、親方の言う通りハンマー握って15年です。

見てわかるようにあたしは鍛冶屋の娘でして、物心ついたときからハンマーを握ってる生活でした。」





-----カン!----カンカン!----




「両親も始めは良いとは思ったのでしょう。どうせすぐ飽きるだろうし

鍛冶屋はとても厳しい職なので、すぐ辞めるとも思ったのかもしれません。」







-----カン!----カンカン!----



「でも、年齢重ねてもあたしはやめませんでした。

それどころか大人になり様々な武器をみるにつれて

あたしも作りたい!っていう気持ちの方が強くなりました。

実際に武器を作るのは楽しかったし、鍛冶があたしの道なんだなって思ってました。。。」




-----カン!----カンカン!----



「しかし両親はそれをよしとはしなかったです。

2年前の18の誕生日を迎えた時、両親は私からハンマーを取り上げてしまったんです。そしてそこから両親の知り合いの商店に努めるようになりました。。」





「……それは私にとって、とてもとても、むなしい日々でした……」






「そんな生活が2年続き、わたしはどうしていいかわからなくなった時に

雇用主のビンズさんが息子に渡すために武器を買ったと聞きました。」







「その武器がモーズ製であると!それが明日来ると!


モーズ製と聞いた瞬間、わたしの中に鍛冶に対しての強い気持ちがまた出てきたんです!


虚しさや悲しさそんなものを吹き飛ばすくらいの衝撃が、あたしの中にまた出てきたんです!」






「……だって!あのモーズソグニルの作品ですよ!親方はあまり気にしてない方かもしれませんが、あなたの武器は鍛冶屋の業界じゃ伝説ですよ!」






「ふん、よせやい、、そんな太祖なもんじゃねぇ。

俺はなぁ、、作りたいものを作って今までやってきた。

ただそれだけだ、、、あと火の粉が冷めちまう。叩くなら叩け。」







「  」




「…すいません!あたしとしたことが!」









-----カン!----カンカン!----







「……ビンズさんもあたしの事情を知っているので武器を見せてくれたんです。」


「君がここにいたのも運命だったのかもねって。」





-----カン!----カンカン!----



「……剣を見たとき、変な話をするかもしれませんが剣にこう言われた気がしました。」








    -------真っすぐに 生きろ------- と









「……なぜそう思ったかはわかりません!ただそう感じたんです!

そこからは早かったです。ビンズ商会を辞めひたすら頼み込んんでバースさんの旅に無理やり付いていって、ひたすら弟子入りを頼みました。。

そして今にいたると……。」




「……親方!あたしの鍛冶に対する気持ちは本物なんです!お願いします学ばせてください!」



「ガハハハッ!!うれしいねぇガハハハ!

ふーむ、エッダおめーさん本物かもしれねーな?

それを感じ取れる人間はなかなかいねぇ」



「それはどうゆうことですか親方?」



「俺はな~さっきも言ったが、作りたいものを納得するまで作る。

そうやって今まで鍛冶をやってきた。」





「……エッダお前がみた武器はビンズ商会のやつだな?」


「はい、息子にさんに送るといわれて。。。」




「その武器はさっきの話だが寄贈用の物でな 

ビンズは実はここだけの話だが、もう長くはないんだ。

その話を知ってか息子のダウソンは、王都での騎士生活を辞めて

ビンズ商会を継ぐってことをしようか悩んでたらしい。

だがなぁ~ビンズは俺の所に相談しにきてこう言った。」



「息子には息子の道がある。

やつに騎士の道をあきらめないような作品を作ってくれと。」




…それは




「そうだなエッダ。お前が感じた通りあの剣にはテーマがあるんだ。

あの剣には自分の信じた道を行けっていうテーマが!

まさにエッダお前が感じたもの。それだよ。」







真っすぐに 生きろって事さ。








「お前さんは分かってかは知らんがそれを

直観的感じたんだよ。それは凄いことだ。」


…あたしの感じたもの。。


「わかる人間にはわかるが、わからない人には伝わないそんな剣さ。

だからお前さんに届いたなら、

俺の剣にはちゃんと魂があったんだな!ガハハハ」


…っ。。





「おっと、さっきも言ったが火の粉が冷めちまう。叩くなら叩け。」








「  」




「親方!!あたしも、そんな剣を作れますかね?




誰かに感動されるような


誰かの道を示すような


そんな作品があたしにも作れますかね?」







「おめーさんが感じたものを作ればいい。納得するまで作ればいい。

それが結局誰かのためになる。」



「……それが【モーズ製】だ!

わかったか新弟子!」





「…………っ。ありがとうございます!

親方のような素敵な人に出会えて光栄です!

これからもよろしくお願いします!!」


お おう。。(照れ)





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書きたかった親方と弟子のエピソード。親方が弟子として見ながらも女としてみる苦悩を少しずつ書いていきたいですね。

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