第7話 スマホ忘れたから

 LINEでも教えられればよかったけれど、香菜はスマホを持ってない。


「夕食、もう食べた?」

「まだです」


 サナエの誘いで食事に向かう。


「道がわからなくて」


 困って香菜が言うと、サナエはほほ笑む。


「神出鬼没な橋は、必要な人が必要な場所へ行かれるようになってるんだ」


 サナエに教えられて、不思議な気持ちで橋を渡る。


「あれ、ここ、もともと橋がある場所!」

「そうだよ」


 もとの橋に置き換わって出現するんだ。


「必要としてる人にしか見えないって、この前、河童くんが教えてくれたの」


 あの沢、河童もいたのね。


「どうやって連絡取ればいいですか? 今、スマホなくて」

 香菜は問いかける。


「電話でもメールでも」


 香菜は両方伝える。


「なんだか楽しそう。早く縫ってみたいな」


 香菜もうなずく。

「本当に楽しそうです」


 夕食は2人でピザを分けて食べる。



 目には視えなかったけれど、さっきのペガサスがすぐ横に現れた気がした。

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渓谷へ 桜川 ゆうか @sakuragawa

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