第2話 カモ

「助けて!」


 不意に聞こえた叫び声に、香菜は顔を上げる。


 声のしたほうへ急ぐと、1羽のカモが落ちてきた木の枝でケガをしている。

 

 でも、カモがしゃべるなんて。


 それに、どうやって助けたらいいの?


 香菜は困って首をかしげた。


 沢がさらさらと囁く。

 私で洗って、エネルギーを注いであげて。


 沢がしゃべるなんて、もっと変だ!


 洗ったほうがいいのは事実なので、香菜はカモを掌に載せて翼に水をかけてあげる。


 カモはちょっと暴れてる。痛いのかもしれない。


 香菜は「だいじょうぶ」と言って傷の上に手をかざす。


 本当に治るのかな、と疑っていると。


「治ったところをイメージするんだよ」


 沢のアドバイスにしたがって、治ったカモの翼をイメージする。


「そしたら、翼にそのエネルギーを注いで」


 香菜はできるだけやってみる。


 カモと沢の声が聞こえたんだから、きっとできるよ。


 不思議なことに、傷は瞬く間に消えていく。


「ありがとう」

 カモが嬉しそうにお礼を言う。


 カモは羽ばたいて仲間と合流した。


 香菜は不思議な気持ちで、カモたちが泳いでいくのを見つめる。

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