渓谷へ
桜川 ゆうか
第1話 渓谷へ
香菜は部屋で仕事をしていた。
持ち帰ってきた仕事をパソコン使ってこなしていく。
コロナ禍で、自宅でずっと仕事をしていて、外へも出ない。
何か疲れた。
窓の外を見ても、都会の景色で心が休まるわけでもなく。
どうしても自然に触れたくなる。
そうだ、渓谷行こう。
仕事が終わってすぐに、マスクとお財布を持って家を飛び出す。
電車に乗って、目的地へ。
思い立って出かけたけれど。
「いけない、スマホ忘れた」
行き慣れた場所でもなく、地図を見たはずなのに、道に迷う。
こっちかな、あっちかな。うろうろ歩く。
目の前に、記憶にはない橋がある。
気になっていろんな方向から眺めると、橋の色が白っぽい色から、虹色の光を放っている。
心が動いた。
どこでもいい、行ってみよう。
橋を渡って少し進むと、水の音がした。
こっちでよかったんだろうか。
香菜はほほ笑んで音のするほうへ向かう。
渓谷らしい場所に着く。
マスクの指示はなく、香菜は持ってきたマスクをつけないまま、谷へと降りていく。
写真とは違う。思ったよりもずっと大自然の中にいるみたいだ。
沢の水は澄んでいて、メダカがいるのが見えた。
ほかに歩いている人はいない。都会にしては、不自然だ。
不思議に思いつつも、せっかくなのでじっと水の流れに耳を澄ませる。
日常の疲れが一緒に流れていくようだ。
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