第18話
つまり おなかのなかにいるときには『胎児の子供をありのままに愛し』て 生まれてきたら『生きている子供をありのままに愛す』る それで もしさきに子供が死んでしまったら 『死んでいる子供をありのままに愛す』ることだとおもったんだ 受験に失敗したならばその子供をありのままに愛する 病気になったのならばその子供をありのままに愛する もし殺人鬼になったのならばその子供をありのままに愛する これは冗談ではない のちに親鸞という弟子があらわれるんだが 親鸞はさらにその弟子に『ひとを千人ころしてこい それができないのならば おまえはそういう縁起のもとに生まれてきたんだ もしできるのならば おまえはそういう縁起のもとに生まれてきたんだ』という おれたちはみな『空』だ 『空』っちゅうことは あらゆるものごとの縁起でなりたっているってことなんだ 聖者は聖者になる縁起に生まれた 殺人鬼は殺人鬼になる縁起に生まれた すべてはありのままになるようにつくられているのさ
――つづく
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