第11話
たとえばさ おれが愛しているひとがいるとしよう いま そのひと――ついでにいっておくが おれたちの終着駅である極楽浄土には性別っちゅうもんがねえ よくおれの弟子たちは『極楽浄土には男性しかいない』っちゅうけれど これも誤解だ それどころか『女性は極楽浄土にいけない』っちゅうのはとんでもない間違いだ 実際には『極楽浄土にゆくとおれたちはみな仏様になる』のさ だからここでは『そのひと』といっておくが――が愛おしくてたまらないかもしれない けれども 『そのひと』っちゅうのもまた『空』だ すべては因縁によってなりたっている おれの愛しているそのひとは つぎの瞬間や 数年後には 別人のようになっているかもしれねえ 対象が豹変したときにもおれの愛情が不変であるという保証はねえ 同様に おれが死ぬほど憎んでいる『ひと』も つぎの瞬間や 数日後には 『べつのひと』になっているかもしれねえ そのとき おれの憎悪は自然と消滅するだろう これが『空』っちゅうかんがえかただ
――つづく
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