第24話 告白#1
「文句はないんだぞ!」
アルスは狩ったトナカイのような獣を手早く捌きながら言う。
「はいはい、悪かったよ説明不足でな。けど私としてもうまくいく自信もなかったしな」
「もとより覚悟は決めたんだ、しかし説明もせずにいきなり魔獣とやり合わせるようなこと2度とすんなよ!」
「はいはい。」
「……んで?」
アルスは一呼吸を置いて問いかけてきた。
「ゲンキ、お前他に秘密にしてることはないだろうなぁ?」
「ああ…秘密か。」
そういえば大鳥サウルスを狩ったときに勢いで口走ったことがあった。
私は言うべきかどうか悩んだ。
異世界人
…という表現が正しいかはわからないが、ここじゃない所から
私が来たという説明をするべきなのか。
「おい!なんだよ!その間は!ゲンキてめぇ、やっぱなんかまだ隠してるな?」
「…い、いや~」
「言え!なんかまだデカイこと隠してやがるな?」
胸ぐらを掴んで自白を強要しようとしているのだろうが
慎重が全然足りず、服の腹の部分あたりを引っ張るアルス。
「はぁなんと言っていいのか…アルス、実はな俺はな」
「やっぱ!なんか隠してたのか!この野郎!」
そう抗議しながらアルスは掴んだ服を激しく前後に降りつけてきた
「やめろ!服が!言うから!いま言おうとしてたから!」
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私は、信じてもらえないような話だけど…と前置きして異世界から来たことを語った。
日本という国で生まれ、魔法や魔獣なんて存在は無く、ファンタジーなど無い世界で
私は35歳まで暗く…ひどく閉じこもった生活をしていたこと。
転生して、オーガとして生まれたことを…説明した。
「なんだか、とんでもない話過ぎて反応に困るな。」
「だろうな。」
「別の世界ってどんなところなの?」
「いや…なんというか説明めんどくさいな。」
「オーガの世界か?」
「いや、違うな。元々は人間かな。というか人間以外の種族なんていないし。」
「お前が人間?あの劣等種族?というかそれ以外いないってどういうことだ?」
「劣等ってお前なぁ、つまりエルフや魔獣はいないんだよ。」
「まじか、人間しかいないって飯はどうするんだ?肉を食えないんだな」
「違うな、話を拡大解釈してる。人間以外の生物はちゃんといる。魔獣とかそういう現実的じゃないのがいないだけ。」
「魔獣は現実的だろ?」
アルスは先ほど狩った大鳥サウルスを指差して言う。
「やばいなこれ、予想以上に説明が難しいから。やっぱりなしで!今まで通り変わったオーガでいいよ。」
もはや説明ができない、国が違うとか種族が違うレベルの差異ではない、文字通り次元が違う。
あるいは、そういう異質なことが実はこの世界ではあり得ることなのかと期待もしたが。
アルスの反応から分かる通り、極めて特異な状態であるらしい。
私は説明を放棄した
「おい!意味分からんぞ!嘘なのか?またオーガジョークなのか?」
「いや、嘘ではないが。本当である証明も出来ないし、本当であっても現状になんの影響もないことがわかったし、なにより説明が面倒くさすぎるのであきらめた。忘れてくれ」
アルスは口をだらしなく開けて呆けている。
いったい今までのやりとりはなんだったんだという面持ちだろう。
「さてさて、そんなことよりも魔獣を捌いてくれよ」
話ながらもアルスはトナカイのような獣を解体やりおえていたのを見て、私はアルスに言った
「本当にこれを食べるのかよ?それで強くなれるのか?」
「何度も言わせるなよ、そんなの確証はないよ。大鳥サウルス…味は本当に鶏肉に近いから問題ないぞ。」
「いや、味の話しはしてないんだが。この大きさをどうしたもんかね」
それを聞いて聞いて私は大鳥サウルスを手に取った。
そして素手で解体を始めた。
手羽とか腿とかの部位に分けて捌きやすくするのだ。
「スゲーなゲンキ、肉の量も多いし。味に問題ないのならいい獲物かもしれんな。まぁ最も今まで魔獣に手を出そうなんて考えもしなかったがな。異世界では普通なのか?ゲンキ?」
「だから!魔獣なんていなかったって言ったろう。こんな解体どころか、血を見ただけで昔なら悲鳴をあげてたよ。まぁ、生きてくうえで慣れたのか、それともオーガの血がそうさせるのか。ほれ!これを!」
話ながらも爪で魔獣の胸を切り裂き、中から内蔵を取り出した。赤く染まる狙いのそれをアルスに見せる。
「これが狙いだよ!私の仮説ではこれを食することに魔力の量が関わってくると考えているんだ。」
血に染まる内蔵を見てアルスが問う
「それって、もしかして…」
「そう!心臓だ!」
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