第13話 怪物からの逃避 小鬼隊長
あれは、一体なんなのだろう?
人間? いや、それは絶対にありえない。
一族の中でもゴブキンの皮膚は
そう。無敵のはずのゴブキンの皮膚どころか両腕は、奴の力であっさりと消し炭となってしまう。しかも、しかもだ。奴の
(コワイ! オソロシィ!!)
何より、
ひたすら、巣を目指す。きっと、偉大な王とあの方々なら、あいつを止められるはずだから。それを信じ、ゴブキンは
「ツイタ」
「グガッ?」
涙と鼻水を垂れ流すゴブキンに、見張りのゴブリン共は
「グガギグガガ(バケモノガクル)! ギギギグググガ(タダチニ、ムカエウツヨウイヲ)! ガグガギギギ(ソウ、オウニツタエロ)!」
見張りのゴブリンは、数回頷くと、慌てたように洞窟の中に入ろうと足を踏み出す。
まさに瞬きをするほどの間、ゴブリンの全身に無数の線が走り、ゆっくりとスライドしていく。
「アァ……」
粉々のブロック状となった見張りゴブリンの姿を網膜が映し出し、絶望の声が口から吐き出さる。なぜなら、理解してしまったから。まったく悪夢は終わっていないといいうことを。
「ご苦労だったな」
体中を押しつぶされるがごとき圧倒的
振り返ってはいけない。それは明らかなのに、ゴブキンの顔はその声の方へ向いていく。
「ーッ!!?」
その幼子の姿を目にした途端、声にならない悲鳴を上げる。
全身からユラユラと真っ赤な
「では、
ゴブキンは、ここで致命的な思い違いをしていたことに気が付いた。
勝てる勝てないではない。こいつは――。
「ああ、そうそう、案内の
その言葉を最後に、ゴブキンの視界はゆっくりと地面へ落ちていき、意識はプツリと失われた。
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