桃太郎の裏話とあとがき・後編 

 さて、ここまで書いてもまだまだ定まらなかったのが雉です。とりあえず見た目は完全に女だけど本当は男、しかも年上というのだけは決まってたんですけど、名前も職業もずーっと未定でした。三人が石蕗屋で働くことになった頃もまーだうだうだ考えてました。

 とりあえず読者様に女だと思ってもらわないといけないから、名前だってそれらしくしないといけないし、見た目もいかにも『女』って感じにしないとなぁ。


 案としては、芸者とか花魁とかああいう感じでした。そんじゃあの三人とどう絡ませるか? というところで行き詰まり、あんまりR18な感じはまずいので、遊女っぽいのは駄目かな、と。


 雉は見た目が派手、という要素一本で乗り切るつもりだったのですが、調べてみると、どうやら蛇も食べるらしくて、ワーオすっげぇ! と盛り上がり、えっ、蛇食えるんならある程度の毒もいけんじゃね? という超解釈から、毒無効要素をプラス。


 毒が効かないとなったらアナタ、そらもう忍者よ、と。当初は城仕えの忍者だったんですけど、それだと色々動けないし、抜けるくだりを書いたらさすがに字数がやべぇってことで、既に抜け忍ということに。


 バトルは書かないつもりでしたが、とりあえず、


 桃太郎→なんかさらーっとすごいことするチート野郎(だって鬼だし)

 犬→真正面から飛びかかってワンワン

 猿→ひょいひょい飛び回ってウッキウキ


 だったので、何か飛び道具的なのが欲しかったこともあり、


 雉→毒とか暗器とか、あと何か口が上手い


 という役になりました。

 無職というのもアレなので、フリーの薬師(薬売り)ということにしました。どこかで一服盛らせたかったのもあります。


 ちなみに青衣の忍術ですが、実在した(?)やつで、巻物をくわえて蛙になるとか、そういうのはやめました。扇子に薬を仕込む霞扇の術と噂を流す風の術、あとは人の感情に付け込む五車の術、もちろんすべて忍たま乱太郎です!(言い切った)


 得意の行き当たりばったりプロットでしたが、書きながら考えていたのは、


 とにかく後悔しないように好きな要素を全部入れる!


 でした。


 なので、登場人物全員に重い過去を背負わせました。作中では書かれてませんが、青衣の家はやたらきょうだいが多く、口減らしのために捨てられた→拾われて忍者みたいな裏設定があります。

 鬼を悪者にしたくなかったのもそれですね。所詮善悪は人間の基準なのですからね、鬼には鬼の事情があるだろうしな、と。宇部作品の悪役ってこういうの多いです。


 そんなこんなで桃太郎のくせに、まぁー鬼ヶ島に行かない行かない。鬼退治じゃないですからね。行くまでが長い長い(笑)


 そんな桃太郎になりました。

 

 あと、気付いた方、いるかいないかわからないんですけど、あの三人の仲間の中で『友達』は白狼丸だけなんですよね。あとの二人はあくまでも仲間なんですよ。だから何だって話ではあるんですけど。

 だから本当に最初から白狼丸は太郎の特別だった、っていう。そんなん書いたらお猿が泣くよ。


 さて、色々書きましたんで、あとはまたちょいちょい書きたいシーンだけ書いたりしようかと思っています。


 長編を書いてて毎回思うのは、キャラに愛着がわきすぎて終わるのが惜しくなるんですよね。第二章も書きたくなっちゃう。木綿ちゃんの話も実はちょろっと書いてて止まってますし(笑)


 なので、これもこの先どうなるかわかりませんが、せめて短編こっちの方はちょいちょい書いていけたらな、と思っています。

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