数年後

相棒が死んでから、僕は何回目かのクリスマスを迎えた。だが僕にとってはめでたい日とはとても言えない。あいつの命日でもあるのだから。


この日は、決まって悪夢を見るものだ。あいつを助けられなかった自責の念が、今でも僕に悪夢を見せているのだろう...



そして夢が始まった。しかしいつもとは違うものだと感覚で分かった。相棒が来ている。夢の中だとはいえ、久々の再会に僕は胸が高鳴った。


しかし、あいつの可愛らしい格好と髪型とは裏腹に、表情には笑顔さえあれど、かつての天真爛漫なものとは異質さを感じさせた。いうなればどこか陰を帯びたような笑顔だ。


相棒と僕は暗い床の中、体育座りをして腰掛けた。たがいに見つめ合いはせず、同じ方向を向いている。


「歌が嫌い、もとい無関心になったのは本当だったんだな。それから全ての趣味も」

「そうさ。多分夢でも見てたんだろう。あの時のオレは...」

「夢?」

「親の援助があったからこそ見れた夢だよ。その夢から覚めたら...オレはもう、覚める前へと戻ることは出来なかった」

「夢から覚めて、お前はまもなく死んだってわけか」

「ああ。でも結果的には、それで良かったのかもしれない」

「良かった?死んだことが、お前にとっては良かったことなのか」

「そうさ。夢から覚めたところで、次にどうすればいいか...オレにはどうすることも出来なかったんだから」

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