第15話 到着

「見えてきた、あそこかな?」

あれから3時間ちょっと歩いた頃、アルマに指を見えてきた村の方をさして確認する。

「うーん?見えないけど多分?」

「見えないのか、潮の匂いも近いし多分あそこだと思うんだけどな」

「潮の匂いするの?海が近いの?見てみたい飛んでいい?」

「いやいや待ってそんな目立つ事したら村の人達が大騒ぎになっちゃうだろ」

せっかくもうちょっとの所まで来たのに門前払いされたら困るよ。ルトさんに連絡入れなきゃいけなくなっちゃうし。

「大丈夫、竜の姿じゃなくて翼を出すだけだからさ」

そう言って僕の肩を掴み黒い翼を背中から出して一気に大空え飛び立つ。

「いぎゃぁぁ、高い怖いやめて下ろして」

ジタバタ暴れる僕を制してアルマは

「わぁー綺麗、早く行こうよ」

なんてはしゃいでいた。

「うん、行こう。だから下ろして」

「分かった。じゃあ降りるよ」

そして急降下。そして地面に着いた僕は木の近くで胃の中を空にしていた。

「そんなにキツかったの?」

「高いとこ嫌い、気分悪くなるうげっ」

また吐き出す。その間アルマはよしよしと背中をさすってくれた。まぁ吐くことになった犯人でもあるけど。

「気分落ち着いた?」

「、、、まぁそれなりに」

「じゃあ行こ」

翼をしまったアルマは僕の手をいひて歩き出す。

少し歩くと村の入口に着いた。

「警備とかいないのかな?」

小さな柵で守られた村で入口には番人らしき人は見当たらなかった。

その代わりに『ようこそ』と書かれた看板があった。

「まぁこの近く野うさぎとか小さい動物しかいないし大丈夫なんじゃないの?」

「そうかも?」

首を傾げながら村に入る。村の中には人が大きな樽を抱えて走っていたり、店を開いて魚や野菜を売っていたりしていた。

「美味しそうあの魚」

アルマは早速魚を見つめてヨダレを垂らしていた。そこに

「美味しいよ、良かったら食べるかい」

と眼鏡をかけた人が声をかけてきた。

「マカナさん、良いんですか貰っても」

「大丈夫だよ、ほらアルマちゃんだっけどうぞ」

マカナさんはアルマに焼かれた魚を差し出す。

「ありがとうございます」

受け取ってお礼を言う。

「どういたしまして、それじゃあとりあえず私の家に来なよ。泊まるとこ決まってないでしょうし」

「まぁ確かに決まってないですけどいいんです?泊まっても」

「大丈夫、一人暮らしだし布団も余ってるからさ」

「そうですか、じゃあ断るのも何なのでお願いします」

そうしてマカナさんのお家に行くことになった。因みにその道中アルマは魚1つでは満足いかず、もう1匹貰って食べていた。

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