第14話 道中

歩き初めて5時間ほど立ったかな。まだ海の塩の匂いはしてこない。

「遠いな、疲れたな、休憩したいな」

弱音を吐いて休みたいアピールをする。

「えっとじゃあちょっと休憩する?」

「する」

ノータイムで返事をする。そしてゆっくり歩いていた僕の手をアルマが取って木の影に近づく。

「ここでいっか」

木の近くでアルマと座る。そしてバッグから街で買っておいたパンを2つ取り出し1つをアルマに渡す。

「ありがと」

受け取ったと思った矢先パクリと一口で平らげてしまった。

「はっやいな食べるの」

「えっと、こんなもんでしょ普通。」

アルマは立ち上がって

「足りないからちょっと狩ってくる。ここで待ってて」

と軽い感覚で森に行ってしまった。

「1人になってしまった。もぐもぐ」

暇だな〜なんて言いながらアルマが帰ってくるのを待つ。

少し待っていると眼鏡をかけた青髪の女性に

「どうした少年、迷子か?」

と声をかけられた。

「わざわざここまで来て迷子にはならないですよ」

「ハハッすまんな、それもそうだな」

大声で笑いながらそう言う

「少年名前は?私はこの先の海の近くのキルナって村に住んでるマカナってもんだ」

この先、海の近く。僕らが行くとこキルナってな村なんだ。

「僕はカルト、今はいないけどアルマって女の子と一緒にお姉さん、マカナさんと同じで村に行くとこです。」

「なんと私の村に来るのか。なら着いたら案内してあげるよ。そんな楽しめるか分かんないけどね」

「はい、機会があったらお願いします」

「うんそれじゃあお先に、またな少年」

速足で歩いていってしまった。

「勢いのすごい人だったな」

そう言うと僕のもたれている木の後ろから

「もう行った?」

とアルマの声がした。

「どうしたのそんな隠れて」

「いやなんでもないよ、ただ人見知りなだけだから」

アルマが木から出て僕の横で止まる。

「そっかならいいけど、、何その馬鹿でかい肉」

アルマの手にはこんがりと焼かれた骨付き肉があった。

「イノシシが居たから焼いた」

森が火事にならなくてよかった。

「そのまま焼いたんだ、スゲェもんだな」

「そうかな」

と言ってバクっと一口ででかい肉を丸呑みにした。

「、、、行こっか」

こうゆうのは気にしたら負けだよな。

「お腹いっぱい、うん行こ」

再びキルナ村を目指して歩き出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る