第2話 目的をください

異世界に来て(と言うか飛ばされて)もう3ヶ月ほど時が経った。その間て言うか今もルトさんの家にお世話になっている。村長なだけあって大きな家なのだがルトさんは独り身で空いてる部屋が多いそうだ。でもこの村には宿屋が無いためこの家を宿屋の代わりとしているため寂しくはないらしい。僕はその宿のお手伝いをしている。そして今日も

「カルトー、薪が無くなりそうなんだ、今日は森に取りに行ってくれないか?」

「あーはい、行ってきます」

朝ごはん、近くのパン屋のジャムパンとホットミルクを飲みながらそんな話をする。

「あまり森の奥に行かないようにな、最近魔物が出てきてるそうだからな」

「うん分かった、じゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい気をつけてな」

小さなナイフと薪を入れるための袋を片手に森へと向かう。とは言ってもただ薪を拾うだけだしそんなに心配はないけど。

「ふぅ、こんなけあれば足りるよな」

森に入って1時間、薪が集まったので木にもたれかかって休む。一息ついて(今日の晩御飯何かな?)なんて考えているともたれている木の上から、白く綺麗な羽が落ちてきた。

「鳥の羽?木の上にいるのかな?」

木の上を見上げると白く綺麗な鳥が木の枝に止まっていた。

「綺麗な鳥さんだな」

よく見ると何か咥えている。と思ったらそれを下に落としてきた。

「これは?、、手紙?誰から?」

裏、表と見てみるが誰宛なのかも書いてない。(開けてもいいのかな?)と思っていると木の枝に止まっていた白い鳥が飛んで行った。

「行っちゃった、開けてもいいって事なのかな?」

手紙を開けても見ると中には4枚の紙が入っていた。

『カルトへ、ワシじゃお主をこの世界へ送ったカニ好きの神じゃ。やっと時間が出来たからお主の力について説明しようと思う。まぁまだ全ての力を使える訳では無いがな。ではまず1つ目、(武器を生成する力)お主の右手と左手、手片方ずつに武器が収納されてある。念じれば出てくるから、試しに出してみるといい。因みにくっ付けて合体することも出来るぞ。』

1枚目、これで終わり。神さまが言ってた通り念じてみるか。

「えっと、ググッ」

シュンッ、と右手、左手と片刃の剣が現れる。

「おぉ、本当に出てきた!」

右手には赤色の、左手には青色の赤色と比べると少し短い剣だった。

「えっと神さまが言うにはくっ付ける事も出来るんだっけな」

よく見ると赤の剣に窪みがある。そこに青の剣をはめろって事なのかな?

「えっとー、これでいいのかな?」

合体させるとハサミの様な形になった。

「これ使いにくくない?重いし、1つずつ両手で使った方が良さそう」

多分使う事はあまり無いと思う合体だった。

かっこいいけどね、仕方ないね。誰にでも適正ってものがあるしさ?

「えっと、手紙の続きは」

『武器はどうだったかな?多分まだ使いこなせないと思うが、これから使いこなせるようになるから気にするでないぞ。では二つ目、自分の姿を蟹にする力 、じゃ。分かるぞ、多分それじゃあ弱くなるだけじゃないか、とでも思ってるじゃろう。安心せい、蟹の姿になれば色々強い力が使える様になる。例えば魔物と話せたり、とんでもない水圧で水を出せたり。まだあるが試してみるのが1番じゃ』


蟹になる力、強いのか弱いのか分からないな、やってみるのが良さそうだけどそろそろお昼になるんだよな。もう帰らないとだし明日にでも試すか。今日はもう帰ろう。

「それで手紙の3枚目は」

『蟹の力はどうだったかのう、気に入ってくれると嬉しいのう。そして最後、3つ目の力は食吸収、食べた物の力を自分の力として使う事能力じゃ。魔法を食べてそれを覚えたり、魔物を食べてそのスキルを覚えたりと自由な事が出来るぞ。因みに何でも食べれるが別に美味しく食べれる訳では無いからそこは注意が必要じゃよ。ではこれで今、お主の使える力は全部じゃな、わしはこれからも何かあればこうして手紙を出すからな。お主も自分のしたい様にやるといい。でもまずはギルドに行って冒険者の登録をしておいた方が良いぞ。』

「冒険者か、ルトさんにでも聞いてみようかな」

そうこうしているうちに家に着いた。

「ただいまー、薪は裏に置いておきますね」

「おかえり、お昼できてるからな、もう食べるから手を洗ってこい」

「はーい」

手を洗い、食卓に着く。今日のお昼はお肉たっぷりのスープだった。あぁそいえばどうすれば冒険者になれるのか聞くんだったな。

「ルトさん、冒険者ってどうなったらなれるの?」

「冒険者か、わしも昔は冒険者だったんがな。今は事情があってやってはないが、昔は凄かったんだよ。今度連れて行ってやろう、こう見えてわしは結構顔が利くからな」

「ホント?ありがとうです」

近いうちに冒険者になることはできそうだ。ルトさん、昔から凄い人だったんだな。

〜翌日〜

「ふぁ〜あ」

窓から光が入り目が覚める。昨日夜にお客さんが多かったおかげか、よく眠れた。

「よし、今日も頑張ろう!」

そう意気込むといきなり部屋の扉がドンッと強く開かれた。

「カルト!今日はギルドへ行くぞ!宿屋は休みだ!」

「えっ?今度って言ってたけど今日なの?」

確かに昨日行くって言ってたけど、思ったより早かったな。

「そういう事で朝飯食べたらすぐに行くからな」

じゃあ今日にでも僕は冒険者になれるんだ。

冒険者になっても何するか分かんないけど、、それはルトさんに教えてもらえばいいかな?

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