カニさんの歩く道

電光軍手

第1話 異世界へ

僕は蟹、海や水族館、食卓に居るような何処にでもいる普通の蟹だ。

そして今日僕はある家庭の夜ごはんとして食卓に並ぶ。一緒に並んでいた仲間が食べられ残りも僕1匹となった。だが

「ふぅ食べた食べた」 「お腹いっぱいだな」

と言うご飯の終わりを迎えるような声が聞こえた、そして


     「「「ご馳走様でした」」」

夜ご飯の終わりを告げる儀式が終わった。

(あっ、これは忘れられてる奴だぁ)諦め 

そしてそのままゴミ箱へと捨てられてしまった。そんな無念を抱きながら僕は、天へと上っていくのであった。そして

「おめでとう悲しきカニよ」

なぜか祝福された。

「どうやらその様子だとわしが何をいっているのか分かってないようだな」

「あっはい、教えてください」

「うむ、よかろう心して聞けお主は『今日食べた蟹がおいしかった記念』に選ばれたのじゃ!」

「、、、じゃ!って」

なんかよく分からんこと言ってるなこのじいさん。

「えっとつまり僕はどうなるんですか?」

「うむ、気になるのも仕方ない教えてやろう

お主はこれから異世界に行ってもらう!」

「なぜぇ?」

「何故だと、言ったではないか、今日食べたカニがおいしかったからじゃと」

だめだこのじぃさん話が通じない、誰か助けて。

「因みに拒否権は無い、何を言おうがな」

「待ってください僕は「問答無用行ってこい」   「そんなぁ~~」

こうして僕は異世界へと送られた。

「いつになるか分からないけど、ちゃんと異世界での力と手紙出すから安心して待っておれ」

と言う不安な声と共に。

そして目を覚ますと周りが木で囲まれた森だった。息を整えて現状を確認してみる。

まずカニだった僕が人の姿をしている、多分10才位の男の子、そして森の中で、何も持たずに一人。

(これ異世界来てもう死にそうなんだけど)

とりあえず近くに人が居ないかと歩き回ってみる、そして見つけたのは。

「ガルルル」✕3

なんか凶暴そうなわんちゃん3匹、うんオワタ、異世界来てすぐ終わりそうです、神さまなんで森に飛ばすんだ。

「ガルルゥ」

そんな事を考えているとわんちゃんの1匹が飛び交ってきた。

「キャウン」

と同時に木の影から60歳位のおじさんが出てきて持っていた剣でわんちゃんの首を切り落とした。

「大丈夫かい、少年よ」

「あっはい、全然元気です」

「そうかなら良い」

おじさんがそう言うと残りの2匹が森へと逃げ出した。

「さてお主に質問じゃが、お主何者じゃ?」

(やっぱり聞かれますよねぇ、いやわかってましたよ)

「えっと、、気づいたらここに居てそれ以外は何も覚えてないんです」

あながち間違ってはいないだろうだって神さまに無理やり飛ばされた訳だし。

「何も覚えてないか、ならばわしの家にでも来るか?近くに村があるそこの村長であるわしが言うのだから誰も文句は言わんだろうし」

「おじさん、ありがとうございます是非とも行かせてください」

「おじさんでは無い、わしにはルトと言う名がある」

「ありがとうございます、ルトさん」

そう言うことでルトさんのお家へ泊めて貰うことにした。

「ハハッ、お主も記憶が無いと言うことは名がないだろう、うぅむ、カルトなんてどうじゃ?」

「カルト、いいと思います。じゃあこれからお世話になります」

「あぁ、わしからもよろしくな」

こうして来て直後に死ぬ、なんて事はなかった。異世界なんてどうすればいいのか、とりあえずいつか来るはずの神さまの手紙を待つとするか。

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